第八話 モーリス M 52



     このヨットはサイズアップでキャビンスペースのさらなる拡充、ここまで来るとデイセーラーとしての特性は
     多少は薄れて、クルージング艇に近づいてくる? でも、相変わらずスリムで、フリーボードは低く、シングル
     ハンド。 このサイズのシングルは考えにくいが、でも、一般クルージング艇よりボリューム的圧倒感は低い。

     排水量は15、329kg、バラスト重量は5,126kg、セール面積は131.4u、 SADRは21.5です。
     サイズアップでキャビンスペースが広くなるのは当然ですが、このヨットは内装も造り込んでおり、排水量
     がデイセーラーとしては、重くなっています。このヨットが目指したもうひとつの要素は、高い安定性です。
     マイルドなパフォーマンスに抑え、その代り、非常に高い安定性を持つ。バラスト比としては33%しか無い。
     しかし、バラストの絶対重量とセール面積のバランスで見れば、かなり安定性は高いと思います。セーリン
     グ時の安定性は、バラスト比では無く、バラストの絶対重量(デザインも関係しますが)対セール面積だと
     思います。もし、このままセール面積を増やせば、安定性は下がる。でも、バラスト比は変わりません。

     もう少しセール面積を増やせば、パフォーマンスは上がる。しかし、このヨットのデザインからしても、無理して
     高速にしなくても、このマイルドさで充分だと思えます。考えて見たら、昔のクルージング艇は、今のより、
     スリムだったし、フリーボードも低かった。別荘的使用は別にしたら、それで充分だったんじゃないかと
     思えます。そういうクルージングへの、新たな提示なのかもしれません。もはや、デイセーラーという感じでは
     無いかな? これなら、かなりのロングクルージングだって行ける。
    
   
  
  
  
  
    

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