第二十六話 デイセーラーの探究



      
デイセーラーの探究を続けて、今年で20年になります。何故デイセーラーにこだわってきたかと申しますと、そのセールフィーリング、滑らかさが忘れられなかったからです。時代はクルージングか、或いはセーリングと言えばレース、しかし、デイセーラーのセーリングはスピードだけが全てじゃ無いなと思わせてくれました。

重心の低さとか、シングルハンド仕様とか、それらも確かに重要な要素です。しかし、最も私を魅了したのは、セーリングにおける滑らかさです。それがどこから来るのか? もちろん、いろんな要素があると思いますが、その最も大きな要因は船体の硬さ、船体剛性の高さです。 それは素材や構造、工法等に寄ってもたらされますし、さらに、内部構造であるストリンガーやその造り、バルクヘッド、家具類、舵、等々、職人さんの高い技術で、キッチリと言いますかカッチリと言いますか、精度高く塊の様な感じで建造されており、その総合力によってもたらされています。

この決して目立たない基本的な部分で良い仕事がなされている事が、ヨットの主軸であるセーリングを創り上げています。これが何とも魅力です。もちろん
セーリングにはスピードという性能は重要です。この20年の間に、欧米ではたくさんのデイセーラーが誕生し、その中には本格レーサー並みのパフォーマンスを持つヨットもいろいろ出てきました。しかし、速い事が全てでは無い、セーリングにはいろんな魅力がある事が解ります。そして、デイセーラーであるという事は、そのセーリングにおいてフィーリングが重要だと言う事だと思います。パフォーマンスにはスピード以外にもたくさんの要素があります。

確かに、広いキャビンや快適設備も魅力的に見えます。しかし、このセーリングは何事にも代えがたい魅力として今日まで続いています。美しいヨットを、自由自在に、美しく走らせたい、そのフィーリングを味わいたい、そして、多くの方々に味わって頂きたいと思います。
 
 アレリオン スポーツ 30

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