セーリングの面白さを獲得するには、上手くなりたいという気持ちさえあれば、いろんな発見の喜びも味わえますし、自分が成長していくプロセスも面白さとして感じられると思います。そして、何より、セーリングに自由自在になれます。これはピクニックセーリングとは全然違うセーリングです。微軽風は微軽風でのセーリング、強風では強風でのセーリングをそのまま自分のヨットをコントロールする事で楽しむ事ができるようになる。これは全然違います。自然環境が変わるわけではありません。自分が変わったわけです。上手くなると、自分を変える事ができる。腕だけでは無く、自分の感性も変わります。

そして、さらに、面白い現象が出てきます。例えば、ひとりでセーリングしている時、特に良い風でも無い時でも、特別な何かをしなくても、ただ真っ直ぐ走っている。必要な操作は簡単にちょいちょいと操作できる。でも、殆どの時間は舵を握っているだけです。ただ、無言で走ってます。こんなシンプルな状況でも、その滑らかさを感じて、ひとり静かに、ただ真っ直ぐ走らせているだけで、エキサイティングでは無いが、とっても良い気持ちになれたりします。

もはや、何かをどうしたいという欲求は無く、ただ、その時のセーリングをそのまま味わっています。それでも、とっても良い気持ちになれる。これは恐らく、これまでに、いろいろ発見したり、学んできたりして、その経験をしてきたからではないかと思います。もちろん、ノウハウが身についたからでもあるでしょうが、それらの経験を通じて、自分の感性が変わってきたからではないかと思います。ビュンビュン走らせているわけでも無い。でも、それが至福に思える時があります。

セーリングの醍醐味は、スポーツして、いろいろ考えて、感じて、いろんな操作をやって、より良く走らせるという面白さと、ひとり静かに、黙ってシンプルなセーリングを味わうという、この二つがあるのではないかと思います。これにピクニックを加えて、三つのセーリングを楽しめる。それも、みんなセーリングに上手くなっていくプロセスにおいて、獲得できていくのではないかと思います。

シンプルなセーリングは誰でもできます。しかし、自分が上手くなっていくうえでのシンプルセーリングはやっぱり違うと思います。面白いとか楽しいとか、それとはまた違う味わいがあります。