そのヨットが如何なる性能であろうが、今よりちょっとだけ速く走らせてみては如何でしょうか？　その為には何をどうしたら良いか？　そういう事を考える時、そして、自分で探り、答えを見つけていく時、それがセーリングの様々な味わいをもたらしてくれると思います。その味わいがどんなものかは、そのヨットがどんなヨットなのか次第です。それがヨットの性能だと思います。

また、タッキングするも、ただ舵を切るだけでは無く、どの程度切るか？　新しい方角は何度か、風は強いか弱いか、タッキング後のスピードは、その前と比べてどうか？　舵を切るだけでできるタッキングも、ちょっとレベルを上げてと考えますと、見るべき処はいろいろあります。

ストレートに走っても同じで、舵捌きは良いか、真っ直ぐ走れているか、舵にかかる力はどんなものか、
ちょっと上を目指すだけで、観察し、考える。それで、少しづつセーリングがレベルアップしていきます。
体は馴染み、リラックスできて、そのうち徐々にヨットとの一体感を感じてきます。セーリングって、最後はこれだなと思います。真っ直ぐ、シンプルに走る時でさえ、その味わいに感動する事さえあります。その為には、今よりちょっと速く。

何もレースするわけでも無く、しかもちょっと速くなったからって、それがどうしたとも言えなくも有りませんが、でも、ちょっと速くを心がける事で、いろんな味わいが生まれてきます。頭脳も動くし、感性も動く。

現代人は頭脳偏重、理論優先、確かに、それで発展してきました。しかし、我々が本来持つ感覚も同じぐらい重要だと思います。自然の中で、自然を相手に感じるセーリングは、我々の感覚を磨いてくれます。そうしたら、より多くを感じる事ができます。現代人はもっとセーリングした方が良い。

そう言えば、ちょっと昔、ある方のお子さんが精神的に弱っていました。お父さんもいろいろ努力をされてきたそうですが、なかなか良くならず途方に暮れておられた。それで、セーリングを何度も体験させたのですが、その後の話では、元気を取り戻し、高校ではヨット部に入部したとか。お父さんも嬉しそうに話されていました。セーリングをすると元気になれる！感じるセーリングは、自然がパワーをくれるんだと思います。