第七話 メインテナンス



      
グッドセーリングには、グッドメインテナンスが欠かせません。メインテナンスはコンディションが悪くならない様にグッドコンディションを維持する事ですから、修理とは違います。それで、自分のヨットのコンディションを最も知っているのが自分自身なので、メインテナンスは自分でする事になります。それで、オーナーのメインテナンスは今の状態に気が付く事だと思います。例え、それによって作業が必要になり、その作業を業者にやらせるにしても、まずは自分が気づく事が重要だと思います。

船底やエンジンに関する事は誰でもメインテナンスについて考えますが、例えば、マストを立てているワイヤーが伸びて緩くなっていたりする事もあります。シート類が傷んでいたり、硬くなって操作しずらくなっていたり、或いは、セールが伸びて、以前の様なセーリングにならなかったりです。

メインテナンスは、普段から気を付ける方が良いと思います。例えば、エンジンの冷却水を必ず自分の目で見る。出てるかどうかだけでは無く、どれぐらいの量が出ているか、見慣れていれば、いつもより少ないなとか言う場合にすぐに気づきます。また、時々でもマストを支えるステイ類も、手で押したり引いたりしてテンションを感じておくと、これが意外に人間の感覚はすごいもので、緩くなった時に感じたりします。その他、ビルジの溜まりを見る、時々電動ビルジポンプの動作を確認する等々です。デイセーラーはシンプルなので、これら全部を見るにしても数分です。来た時エンジンを駆けて、暖機運転している間です。

それから、エンジンルームはいつもきれいにしておきます。万一、オイルの一滴でも落ちらたらすぐに解ります。ですから、時々で良いので、エンジンルームを覗いてみて下さい。

グッドセーリングにはグッドコンディションが必須です。何かメインテナンスを施すという前に、普段からグッドコンディションの状態を感じておく事が重要で、普段から上記の様な事をちょいちょいと確認しておくと、そのグッドコンディションが自然に体感として記憶されますから、ちょっとした異変にすぐに気が付けます。

さらに、セーリングしていても同じで、グッドコンディションでのセーリングの記憶は、知らず知らずの間に体感的に記憶されます。ですから、わずかな異変でもすぐに解るようになります。もう随分前になりますが、キールを当てた事があります。幸いすぐに抜け出せたので何も問題は無かったのですが、その次のセーリングでこれまでとは違う感じでした。それで、すぐに上架したのですが、キールにわずかな傷が残っていました。たったこれだけの傷に良く気が付いたねと感心もされました。しかし、誰でもそうなれるんです。キールは鉛でしたので、すぐにサンディングして船底塗装して、走って見ますと、以前の滑らかさが戻っていました。

メインテナンスの基本は、何か面倒くさい事をするのでは無く、グッドコンディションを体感的に記憶している事が重要ではないかと思います。そして、いつもと違う何かに気付く事だと思います。これは普段セーリングしていれば誰でも自然に解ります。機器類は時々でも動かす事で、メインテナンスと言っても、特別な何かでは無いと思います。使う事がメインテナンスの基本であり、違いに気づき、必要であれば早めに対応する。重要な事はいつもグッドコンディションでセーリングを楽しむという事だと思います。

        

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