第七十二話 デイセーラーの分類



      
デイセーラーがいろいろ出てきた処で、勝手に分類してみました。たくさん出てきますと、必然的にある傾向が出てきます。まずは4種類。

一番目は、70〜100年ぐらい前にデザインされて、今日でも建造が続けられているクラシックそのままのヨットです。昔は木造でしたが、今日ではFRP製での建造もされていたりします。いわゆるロングキールを持つオリジナルのままのヨットで、ノルディックフォーク25とか、オリジナルデザインのアレリオン26とかがそれに当たります。根強いファンに、今日でも支えられています。
 

二番目は、そのクラシックデザインの雰囲気を残しつつ、船底形状やリグ、工法や構造素材を最新にして、帆走性能を高めたヨットです。現代のアレリオンシリーズが代表的ですが、アメリカのデイセーラーはみんなこのジャンルに入ります。SADRで言えば、20前後から25ぐらい迄。
 

三番目は、ヨーロッパ系になりますが、二番目のクラシックデザインを維持しながら、さらにスピードを上げる為に、バウ側のオーバーハングを無くして垂直にして水線長を長くしています。また、排水量もより軽くしています。モダン/クラシックです。SADR25以上、30以下
 

四番目はモダン系のデザインで、より軽く、より速くを重視しているデイセーラーで、オプティオ9、ディナミカ940、Bヨット等々が代表的です。SADR30前後。
 

そして、これから五番目として、これら以上のスーパースピード狙いが徐々に出てきています。そこまでなるとデイセーラーのジャンルを超えてワンデザインレーサー色が色濃くなるような気がします。SADRで言えば35以上。

さて、もうひとつ別の分類の仕方もあります。
デイセーラーもサイズ的にはでっかいのも出てきています。30フィート代半ばぐらいまでは、上記の4つのどれかに当たりますが、これ以上のサイズになっていく場合は、三つに分かれていきます。いずれもサイズメリットの出方が違ってきています。

一番目はサイズアップのお蔭で、キャビンがその分広くなりますので、デイセーラーとしての機能にクルージング性を持たせたもの。内装も凝ってきます。代表的なのは、アレリオン41とか、モーリスのM42とかヒンクリー、フレンドシップとかです。SADRで言えば、20前後ぐらいです。
 

この分類の二番目は、サイズアップの利点をスピードに向けたもので、内装はシンプルのままです。例としては、Bヨットなんかは典型です。B38,B42,B60もあります。SADR30以上
 

そして三番目は、サイズアップの利点を、スピードアップと安定性の高さの両方にバランスさせています。
この代表はイーグル44とか54です。SADR25〜30
 

デイセーラーの分類はこんな処かと思います。デザイン、パフォーマンス、サイズ、この三要素です。超クラシックから超モダンまで、スピードもSADR15から40まで、世界はこんなに広がっています。ヨット先進国のセーリングに対する考え方はもう変わってきています。
        

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