第七十九話 あるオーナー



      
仕事が現役だった頃、彼はデイセーラーでした。湾内から出た事無いと恥ずかしそうに言われた。そして引退するとすかさず長期のクルージングに出られた。九州を一周、そして日本一周。彼はロングクルーザーになった。昼間だけ走って、しかも、次の目的地は40マイル以内。朝は早く出て、昼の3時か4時には次の目的地に到着できるように計画したそうです。デイセーリングの繰り返しみたいなものと言われた。

それから再び、デイセーラーに戻って、セーリングを楽しまれるようになった。彼はいつもシングルハンド、デイセーリングもクルージングも全てシングル。レースにも参加される様になった。勝つためでは無く、楽しむ為、何でもやってみるさ。また、できるだけ自分でメインテナンスをやり、それを楽しんでおられた。いろんな工夫もされた。彼が最も楽しめた最大の理由は、他人を気にしていない事かもしれません。自分の好きな様にやる。

こういうスタイルの方は日本では少ない方かもしれません。他人の価値観で遊んでも楽しく無い。自由に、好きな様にやるさ、遊びだもん。と口癖の様に言われる。誰一人として同じ人は居ない。みんなそれぞれが異なる価値観、感性を持ちます。誰がどんな能書きを垂れようと、自分の価値観に従って、個性的である事が最も楽しむ方法ではないかと思います。そして、ヨットは極めてプライベートな遊びです。だから、本当は誰もが個性的で居るにた易く、心地良くなれるはずなんだろうと思います。

        

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