第八十一話 小型、大型


      
かつて、いつかは30フィートという言われ方もしました。まだまだみんな小さなヨットが殆どだった時代です。当時、30フィートはでかく見えました。30フィートが進水しようものなら、羨望の的でした。ところが、その後、サイズはどんどん大きくなって、40フィートあたりも珍しくなくなりましたし、さらに、それ以上のサイズも結構目につくようになりました。

ヨット先進国である欧米を見ますと、当然でかいのも有りますが、小さいのも多い。20フィートあたりなんてうじゃうじゃあります。そこが日本とは違う処です。成熟するという事は、それぞれのオーナーが自分に合うヨットを選ぶようになる事ではないでしょうか?

買い換えの度にサイズアップが常識的だった。ところが、成熟すると、自分サイズ、自分仕様という事が解ってきます。最も楽しめるのはどんなヨットなのかが解ってくる。だから欧米ではいろんなヨットが進水します。それが本当の在り方なのではないかと思います。単に予算のある無しではありません。

ヨットを別荘にするなら、でかい方が居住性が良い。しかし、それを実際に動かすならまた別の話です。欧米では、徐々に、動かす事を考慮してサイズダウンする方々も増えてきた。元々、小型艇も多かったわけですが、日本も、そろそろ、そこの当たりを考えた方がより楽しめるのではなかろうか? まして、別荘的に使う事が無いなら尚の事。

それで、セーリングを考え、旅を考え、本当の自分サイズと仕様を考えて、心から楽しめるヨットにする。これからはそういう時代だと思います。そのうえでサイズアップもサイズダウンも有りですね。日本は人口比率に対して、欧米程のヨットの数はありませんが、でも、結構長い歴史を持ってきました。そろそろ成熟期に入ってしかるべきと思います。

写真はアレリオン30です。今では、30フィートというのは大き過ぎず、小さ過ぎずという感じがします。多くのデイセーラーが28〜33あたりに集中しているのも解る気がします。ヨットはでかい方が楽という考え方もあります。しかし、セーリングを楽しむなら、30前後なのかもしれません。
        

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