従来のアレリオン28と33の間を埋める事になったアレリオン30、デイセーリング、ウィークエンダー、シングルハンド、それらを考える時、やっぱり30フィートというのは程良いサイズだと思います。それに、スポーツ性を加味して、パワフルなメインセールとし、ジブもセルフタッキングながら、ファーリングドラムをデッキ下に埋め込んだ事で、ジブのセール面積も少し稼いでいます。
このアレリオン30では、お馴染みのジブブームの設定がありません。それで、ニューモデルでは、バウスプリットにファーリングジェネカーという設定です。出航前に上げておいて、ジブとジェネカーの使い分け、そして、帰港後にマリーナでジェネカーを下せますので、とっても使い易い。
さて、データですが、排水量は2,914kg、今日のヨーロッパのモダン系のスポーツ性の高いデイセーラーと比較しますと、決して軽くはありません。しかし、バラスト重量は1,202kgを確保し、バラスト比は41%、と言っても安定性はセール面積との対比ですから、セール面積が43.2uというパワフルなセールですが、充分な安定性を確保できています。結局、スポーツ性能の狙い処の違いです。SADRは21.5と、結構なスイスイ感を楽しめると思います。安定性とスピードのバランスの問題で、各人の好みにも寄るんでしょうが、充分に楽しいセーリングを楽しめると思います。
スピードを求めると、排水量を軽く造る事になり、そうすると必然的にバラスト重量も軽くなります。そこにセール面積をどうプランするか? これはスピードと安定性のバランスという事になります。ここがアメリカクラシック系とヨーロッパモダン系デザインの考え方の違いがあり、ヨーロッパ系はよりスピードを求め、安定性に対してはリーフで対応する。アメリカ系はそこまでのスピードを求めず、フルセールでの安定性確保を高めています。どっちが良いというより、考え方の違いで、オーナーの好みの違いです。
多分、ヨーロッパ系のモダンデザインではデイセーリングに加えて、レース志向も強く考慮しているかと思います。アメリカ系クラシックデザインもレースはするものの、同じワンデザインではあるものの、そこまでは求めていない。この違いはSADR値(セール面積/排水量比)、それから、セール面積とバラスト重量の対比に如実に出ています。スピードと安定性のバランスをどこで取るか? これがクラシック系とモダン系で異なり、さらに、それぞれのヨットで異なります。逆に言うと、これを見れば、そのヨットが解ると思います。
|
|
|