第二話 進化を楽しむ



      
ヨットをバッチリ整備したら、それ以上の進化は改造でもしなければありません。もちろん、セールを替えたら性能は変わりますし、艤装品を替えたら良くなります。しかし、船体そものの性能が変わるわけではありません。

では、何の進化を楽しむか? それは、自分の知識や腕の進化です。グッドフィーリングを目指しながら、セーリングの理屈も考えながら、それを徐々にこなしながら、その進化を味わっていく。そういう面白さがデイセーリングの進化の面白さではないでしょうか?

何か新しい知識を得れば面白くなります。それをできるようになれば、面白くなります。デイセーリングでは、競争に勝つとか、どこかに到達できたとか、そういう事はありませんが、その代わり、自分自身の進化を楽しむ事ができると思います。

その進化は、何も知識や腕だけでは無く、自分の感覚の進化もあります。何かに気づく、それによって、新しいフィーリングも生まれます。快走だけでは無く、穏やかな日にも、楽しめる自分が居たとしたら、それも進化だろうと思います。進化は、自分自身のいろんな側面に気づく事かもしれません。あらゆる場面で自分の感覚に気づくというのは、とっても重要な事かもしれません。感じる事は、自分の感情なのに、自分でコントロールできないんですね。

進化の過程では、様々な失敗はつきものです。しかし、そこから学ぶ事は多い。ベテランの方々は、多くの失敗を重ね、それによって進化してきた方々だと思います。

造船所は常に進化を目指します。それは何も、より速いヨットというわけでは無く、そのヨットの持ち味を強化する物だと思います。ここにもヨットはスピードだけでは無いという事が解ります。クラシックデザインのヨットにしても、見た目は変わらないが、いろいろ進化させています。例えば、アレリオン28。もう20年以上前のデザインですが、シャフト式がセールドライブに代わり、ジブブームが追加になり、キール形状も変わりました。見た目は今でも美しいですね。



次へ       目次へ