第九十二話 木造デイセーラー


      

写真の様なヨットは決して一般的とは言えない。でも、オーナーにとってはこれが最高のヨット。実用性の無いヨットは、本来そういうものだろう。こういうヨットを見ると、あらためてヨットが遊びであった事を思い起こさせてくれる。

趣味とは自分のこだわり、感性の表現をどれだけ発揮していけるか?そこに面白さが感じられる。そして、ヨットの実用性が低い程に、自分の感性にこだわる事が許される。どうせこれで一刻も早くどこかに行きたいわけじゃない。長旅における快適な居住性を求めてもいない。でも、好きなヨットを自由自在に走らせたいのだ。

デイセーラーでは、こういう木造のクラシックデザインも少なくない。これなんかは趣味性の強さの現れ、デイセーラーだからこそできる事。キャビンにもスピードにもこだわっていない。唯一こだわるのは自分の感性です。遊びぐらいは自由にやらせてもらいたものだ。

既存のプロダクション艇では満足できない強いこだわりのある方は木造艇になる事が多い。だから、海外では木造の造船所も多い。ところで、日本でも有名だが、ヒンクリーというヨットがある。このヒンクリーファミリーのひとりハンクヒンクリー氏は独立して、デイセーラーを木造建造している。グレートハーバー26だ。



誰でも好きなヨットがある。好き嫌いは理屈では説明がつかない。それを追うのもデイセーラーの在り方のひとつではなかろうか?好きなヨットを好きなリズムで自由自在にセーリングできたらこの上ない。

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