第十二話 セーリングの探求


      

 
セーリングを遊ぶだけでも楽しい。何しろ環境的にも行動的にも非日常性を味わえる。加えて、そこにもうちょっとだけセーリングの理屈を掘り起こして、風を綺麗にセールに流す事を考えてみる。それはセーリングを探求する事になります。

これでスピードが2倍にも3倍にもなるわけじゃない。変化はほんの少しかもしれない。しかし、この事によって自分の意識が大きく違ってくる。考える事、感じる事が以前とは違います。すると、セーリングの少しの変化が増幅されて経験されていく。それまでとは違った意識で動くからです。セーリングを楽しむポイントはこれではないかと思います。

セーリングを堪能するに、数値的な変化はたいした事では無いんでしょうが、経験としてはその変化が面白さに変化していくのではなかろうか?この線引きによってセーリングは楽しさから面白さに変わる。それは、考えて、操作して、その場で結果が出て、いわゆる頭脳ゲームとなり、同時に、これらのプロセスをどの様に変化するかを感覚的にも追っている。

セーリングは頭脳と感覚のゲーム。そのゲームを自分の操作で体現していきます。その操作が無駄なく、滑らかになればなる程、感覚は良くなり、繊細さも増し、さらにそうなると頭脳ももっと動きます。解るからであります。そうなると、さらに感覚も繊細さを増す。だから、上手くなりたいと思います。

このゲームに終わりは無く、自分自身が進化し続けるだけです。スピードはそのヨットが持つ性能に規定されてきます。ヨットを買い替えでもしない限り変わりません。しかし、自分自身の進化に終わりはなく、セーリングをより洗練させていき、それは、自分自身をどこまで洗練されていくかというゲームという事になると思います。その体験、味わいをどう評価するか?

5年後、10年後、どう変わって行けるか?遊び、楽しみ等はその場での事もありますし、長い年月に渡って変化して行くプロセスの楽しみ方もあると思います。お薦めするのは、両方です。楽しさと面白さを、様々な経験を通して味わっていく。セーリングの探求はセーリングを通して自分自身の進化を遊ぶ事かもしれません。

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