第十三話 デイセーリングの心


      

欧米では徐々に既存のクルージング艇からの脱却が見られます。居住性重視もいいけど、やっぱり走って楽しむという本来の遊び方を志向される方々が出てきています。それにしても居住性に偏り過ぎて来たんじゃなかろうか? 居住性はあくまで脇役だったはず、では主役はどこに行った?

これは近場の重視と見る事ができます。近場では誰もが気軽になれて、どんなヨットでも楽しめる。ピクニックあり、本気セーリングあり、レースもあるし、場合によっては1泊、2泊のウィークエンドの旅もある。そう考えた方が居住性より面白いし、気は楽だし、そのお陰でヨットに囚われ無くなって、他の遊びもできるようになったと聞きます。これは案外重要で、ヨット遊び以外、普通に旅行したりもするし、そうすることで逆に、以前以上にヨットも楽しめる様になったと言う方もおられます。

これはデイセーリングのスタイルです。もちろん、クルージング艇でやるので良いわけで、本来はこのスタイルの方が主流になっていてもおかしくなかったと思います。何しろ、最も気軽にできるのがこのスタイルなんですから。ただ、現代のクルージング艇の居住性重視は、無意識のうちにそれが良いんだと思わされてきたのかもしれません。それが今再考されてきているという事です。

そして、その中で、よりセーリングの面白さを重視し、セーリングからグッドフィーリングを得たいという方々がデイセーラーを支持してきています。彼らにとってヨットに泊まる事が重要では無く、いかに気軽にセーリングを楽しめるかがメインのテーマです。

デイセーリングの心は気軽である事、そしてデイセーラーの心は美しく走らせて、より多くのグッドフィーリングを自分の体験として取り込む事です。それが自分の人生にとってどんな意味を持つのか?どんな体験をしたいのか?

ヨットの大型化につれて近場を軽視するようになった。例え自分のヨットがそういうヨットで無くてもです。全体の空気がそういう空気なのです。でも、それが変わりつつある。ちょっと出してサーッと走って来る。この爽快感は至福の時を与えてくれるのではないでしょうか?



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