第二十三話 主流は何か?


      

各人が自由に楽しめれば、どんな使い方だって良い。これは当たり前の事なんですが、でも、これは成熟したヨット文化においてこそ、そう言えるのではないでしょうか?ヨット文化が広がって、定着していけば、自然にある主軸となる使い方が生まれて行く。そして、新規参入者はだいたいそこから始めて、面白さを得たら、各人がそれぞれの価値観に従って発展させて、それこそ自由に楽しんで行く。そういうものではないかと思います。

では、現時点での主流の使い方は何か?欧米では別荘的使い方ではないかと思います。だからこそ、欧米で生まれるヨットが別荘的に使うに相応しいヨットを建造してきた。彼らが楽しんでいるならそれで良い。と言いましても、最近では一部ですが、違う流れも出てきてはいますが、それは兎も角、日本にそういうヨットを輸入して、同じ様なアピールをしても、どうも日本では別荘的使い方は一部であって、主流にはなっていないと思います。では、何が主流になってきたか?簡単に言えば、動かない、使わない事が主流になってきたのではなかろうか?或いは、使っても、ほんの僅かに止まる。

日本の使い方の主流は使わない事、或いは、使っても、ほんのたまの、しかも一部の方々のピクニックや宴会、泊まり程度。だとするなら、そこから面白さを獲得して、発展していく事があるだろうか?所有している事にある程度の気分の良さはあるかもしれないが、それはやがて薄れていくものです。

そこで、欧米の別荘的使い方に代わる日本人の主流の使い方が定着していく必要があるのではないかと思います。それが日本的ヨット文化の定着となっていく。その条件としては、気軽である事、誰でも出来る事、小さなヨットでも大きなヨットでも出来る事、と言う事はできるだけ制約が少ない事です。

そこでお薦めしているのが、近場に絞る事です。近場と言ってもそれぞれの考え方がありますが、例えば、旅を想定して、一週間以内とか、2,3日、或いは日帰りとか。近ければ近い程気軽です。それとセーリングの探求です。ここではもちろんデイセーリングとなります。他にもあるかもしれませんが、取り敢えず思うのはこの二つです。

この他ピクニック、宴会、泊まり 等々は、家族や友人を誘って楽しむ事ができますが、これを主軸に考えるとするとちょっと弱い様な気がします。何が弱いかって、面白さが弱い。楽しいんですけど、長期間にやり続けるには面白さとしては足りない気がします。ですから、これらは主軸の合間に楽しむというのが良いような気がします。

近場で気軽に出来る面白い事を主軸に、いろんな楽しみ方を味わって行く。それは近場での旅かセーリングの探求になるのかな?他にもあるかもしれませんが、取り敢えず、このどっちかを始めてみては如何でしょうか? 面白さを味わえたら、必ず、そこからもっと発展していくと思います。それが多くの人達に広がっていけば、それが日本の主流的使い方になり、さらに広がって、日本的ヨット文化の定着に発展して行くかな?

ヨット文化が定着しようがしまいが、今楽しめている個人には関係無いと思われるかもしれません。でも、大半の動かないヨットの中で、自分だけが楽しむという構図よりは、みんなが楽しんでいる中で、自分も自分流に楽しめてる方が絶対面白いと思います。人が居ない寂しいお祭りよりは、賑わった方が楽しいですから。多すぎるのも困りますが、今はそんな心配するより、もっと多くなった方が良い。

ただ、今の状態が変化するのは簡単な事ではありません。変化の時が来ているとは思いますが、みんな、そう簡単には切り替われない。だから、まずは、このままで良いのかと再考して頂ければと思います。

次へ       目次へ