第四十六話 デザイン


      

今日、セーリングに関して、かなりの部分が解明されてきたと思います。そして、それらはコンピューターに寄って解析され、コンピューターに寄ってデザインされる。そうなると、何を最優先に設定するか? 例えばスピード最優先なら、デザインはそう難しい事では無いかもしれない。

速いヨットは鋭敏です。その操作にあたっては相応の操作をするというのが前提にあります。つまり、スポーツ度が高い。しかし、我々が求めるスピードもスポーツ度も各人それぞれ違います。故に、デイセーラーでは各モデルによってスピードポテンシャルが違い、その幅が非常に広くなっており、どの程度のスピードとスポーツ度かはオーナーが選択する事ができます。そこが、他のジャンルのヨットとは全然違います。

そして、例えば、一般的なレースに使われるレーサークルーザーに相当するスピードポテンシャル持つデイセーラーが何故シングルハンドなのかは、レーサークルーザーよりも軽いし、と言う事は、同じポテンシャルならセール面積は小さくて済む。それにシングル用に艤装デザインすれば良い。

某有名レーサークルーザーの38フィートは排水量が6.7tありますが、上の写真のイーグル38は3.8tです。セール面積を見ますと、レーサークルーザーは約85uに対して、イーグル38は59.8uです。それをセール面積/排水量比でみると、レーサークルーザーが約24に対し、イーグル38は25とあまり変わら無い。しかし、デイセーラーの方が軽く、セールも小さいが故に操作もし易いという事になります。

とは言っても、デイセーラーが求めたのは、スピードそのものでは無く、スピードから来る味わい、フィーリングです。だから、スピード以外にも滑らかさを求めた。これを表現するのは難しいのですが、波に負けない船体剛性の高さからもたらされる感覚です。これに気付いた時、実にグッドフィーリングになれます。

デイセーラーは速いがレースにこだわっていないが故にレーティングにも縛られていない。キャビンはあるが、その広さに縛られていない。ただ、グッドフィーリングを目指しています。それを気軽に、自由自在に、シングルで乗る。セーリングを楽しむに最適なヨットなのです。

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