第四十七話 シングルを可能にする


      

さて、前話で、イーグル38デイセーラーは同サイズのレーサークルーザーと同等のスピードポテンシャルを持ちながら、排水量が軽い為、より小さなセールでそれを可能にしている、だから操作も遥かに容易になると書きました。これはシングルを可能にする大きな要因のひとつです。

もう少し見て、クルージング艇とも比較してみます。クルージング艇ですから、同じサイズならレーサークルーザーよりも当然ながらセールは小さいし、スピードポテンシャルは落ちます。では、イーグル38との比較はどうか? 

イーグル38のセール面積は当然ながら、同サイズのクルージングよりさらに小さい。だいたいクルージング艇の33フィートあたりのセール面積と同じぐらいです。つまり、セール操作は33フィートレベルで、スピードは38フィートのレーサークルーザーレベルという事が分かります。

これがデイセーラーをシングルハンドにできる大きな要因のひとつです。より楽な操作で、より高いパフォーマンスを得る事ができる。そして、幅は細目で艤装に容易に手が届くというデザインもシングルを可能にしています。

それともうひとつ、船体ボリュームも心理的に影響します。今日、長さで考えるのはナンセンスなのかもしれません。幅と高さを加えたボリュームで考えるべきかもしれません。30フィートならシングル可能?もはやそういう時代じゃ無い。かつての30フィートは今の30フィートとは全然違うのですから。ボリュームから来る圧倒感はやはり大きい。それは風圧面積が大きいので影響を受けやすいというのもあります。こういう処がデイセーラーは全然違います。

という事で、セール面積と操作性とボリューム感、これがシングルハンドを可能にし、そして、そのうえで高いパフォーマンスが得られる。これがデイセーラーです。実際、イーグル44をシングルで気軽に、自由自在に乗られているオーナーが日本にもおられます。サイズから来るイメージの既成概念は打ち破った方が良いと思うのです。

既成概念と言えば、レースじゃ無ければクルージング、これも既成概念です。キャビンは広い方が良い。これも既成概念、ティラーよりもラットが良い。これも既成概念。たくさんの既成概念がありますが、それらを忘れて、本当に必要な物に絞ると、よりシンプルに、より容易くセーリングを楽しめるようになるのではないかと思う次第です。冷蔵庫も温水も本当に必要か?ドジャーもビミニも本当に必要か?今後の長いヨットライフはシンプルに! その方が気楽になれます。

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