走る方向を決めて、その時の風に合わせて自分なりのセール調整をしたら、次に何をするんでしょう？恐らく、二人以上居たら、会話が始まる。その会話は、普通の世間話か、或は、目的地があるなら、その話かもしれません。でも、一人ならどうする？　沈黙せざるを得ませんね。 デイセーラーは、何故シングルハンド仕様なのだろうか？　実は、この沈黙を楽しむ為では無かろうか？　セールをセットしたら、作業としては、取り合えずする事が無い。ならば、舵を握って、沈黙して、目と体感と舵を持つ手に自然に神経が注がれる事になり、それが、セーリングを感じるスタートでは無かろうか？おしゃべりは楽しくても、その間は、感覚がセーリングに注がれない。それが、シングルだと、必然的に沈黙せざるを得ません。 きっとそうに違いない。デイセーラーがシングルハンド仕様なのは、シングルだからこそ、沈黙せざるを得なくて、そうする事で、セールフィーリングをより多く獲得しやすくする為だと思います。そうすると、わずかな変化にもすぐに気づきます。風は変化していますから、常にセーリングも変化しています。その変化を感じていくのが、セールフィーリングを愛でる事、レースでは無いセーリングを、純粋に楽しむ事ではなかろうか？ もちろん、ふたりでも同じ事ができます。しかし、セーリングを愛でるという気持ちが一緒でないと、ついつい世間話が始まるかもしれません。別にそれでも良いんですが、でも、沈黙も維持できる関係でいたいなと思います。かつて、そういう関係でダブルハンドで乗っていた事があります。集中する時は集中するし、会話をする時はする、自然にその関係が成り立っていました。ただ、もっと人数が増えると、これはなかなか難しいのではないかと思います。 この事は、セーリングとピクニックを分けるという事になります。デイセーラーがシングル仕様なのは、その両方を使い分ける事ができます。同乗者との関係にもよりますが、沈黙を、なんの違和感も無く、維持するというのは、案外難しい。だったら、シングルの時は、セールフィーリング全開で走ります。それ以外は、ピクニックとしてのおもてなしです。 しかしながら、自分自身がセーリングの妙を感じれるようになったら、ピクニックにしても、おもてなしにしても、対応の仕方が変わっていくのではないかと思います。ピクニックのゲストに、如何に楽しんでもらえるかは、やはり、せっかくの海やヨットなのですから、会話や弁当の前に、ヨットならではのおもてなしの仕方があるのではないか？ゲストにも、セーリングは楽しいだけじゃ無い、面白いと思わせる何かを、その日の土産に持って帰ってもらえる事ができればと思います。 その為には、ただ操船ができるだけでは無く、自分自身がセーリングの面白さを、心から感じていなければならないのではなかろうか？上手いとか下手とか以上に、この方が大事なのではなかろうか？

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