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上の写真を見ますと、デイセーラーにしては、ちゃんと装備がなされています。モデルによっては、もっと簡易的なのもあります。それが、このヨットはきちんと造られている。これが何を意味するかと言いますと、デイセーラーの中でも、ただのスピード狙いでは無く、少しだけ居住性をも考慮されたデイセーラーであるという事です。
案の定、重量はちょっと重い、もちろん、デイセーラーにしてはという意味です。これがクルージング艇なら、このサイズで2倍以上はするでしょう。それは兎も角、造船所はこのヨットをデイセーラー&ウィークエンダーと称しています。このヨットの排水量は2,800kg、セール面積は46.6u、それでSADRを計算しますと、23.9です。なかなかいい数値です。充分楽しめると思います。コンセプトはセーリングはもちろん、少人数での近場への旅、オーバーナイトを考慮している事が解ります。
さて、別のデイセーラーのキャビンです。シンプルですね。これを見ただけでも想像がつきます。このヨットは速いに決まっている。その為に内装をシンプルにして、軽量化を図ったわけですから。このヨットのSADRは27ありました。やっぱりね。
デイセーラー群の中でもいろんなモデルがありますが、特にデイセーラーにあって、他には無い特徴があります。それは、スピード性能のバリエーションが非常に広いという事です。速いクルージング艇のレベルからレーサー並みの、モデルによってそのスピード性能は実に幅が広い。
それを踏まえてデイセーラーを見ますと、そのデイセーラーがどのレベルのスピード性能を持っているか?これはSADR値を計算すればすぐに解ります。加えて、内装の状態を見れば、だいたいそのSADR値に応じて、例えば、SADRが30なんかですと、内装はかなりシンプルであり、高速狙いである事が解ります。但し、例外がありました、以前、ご紹介したB34です。内装もそこそこ充実させながら、ハイスピード、その理由はセール面積が非常に大きい。しかし、この例外も、ちょっと調べただけで、すぐにその理由がちゃんと分かります。
現在、殆どのデイセーラーはSADR値18程度から、上は30オーバーまでありますが、造船所は高速であればあるほど良いという考えでは無く、どの辺りのスピードポテンシャルを狙うか?そのターゲットを実現するにあたって、どの程度の船体、内装、セール面積にするか? 全体のバランスを考えます。まあ、考えるのはデザイナーですが。そのデザイナーに要求を出すわけです。
それで、SADR値を見れば、そのヨットが大体わかる。また、内装を見ただけでも、そのヨットのポテンシャルがだいたい解る。みんなバランスしているわけです。そこで、最上段の写真を見たら、デイセーラーにしては、内装が造りこまれていると見えます。ならば、多少は重いかな? セール面積はどうかな?とSADR値を計算したら、23.9と出た。成程、という感じです。
内装はもっとシンプルでも、もっと速い方が良いという方もおられるし、これで良いという方もおられるし、スピードポテンシャルをもうちょっと下げてでも、内装をもうちょっと充実させたいという方もおられ、皆さん、それぞれの価値観がありますから、造船所は、そのどこら辺りをターゲットにするかという事になります。それを見極めるのが、こちら側という事になります。
という事で、SADR値を見れば、そのヨットが解ります。内装見ただけでもだいたい解る。その両方は独立して存在するのでは無く、バランスしていますから。そして全体を見ただけでも、見慣れてくると、それだけでもだいたい解るようになる。前話のトフィノウ9.7と見比べてみてください。その判断は、好きな方を選ぶのが正解だと思います。その好きという感性は、姿形ばかりでは無く、その性能さえも含めて感じているんだと思います。
好きだ、気に入ったという感覚が非常に大切で、乗りこなせるの?とか思う人が居ますが、そんな事は問題では無く、乗りこなしたいと思う。気に入ったから。そこがポイントではないでしょうか?どれもシングルで乗れるようになっています。クルージング艇より操作し易いと思います。
ただ、念の為、ひとつだけ確認したい事は、操作のシート類がどこに設置され、どういう具合に操作ができるかです。どのデイセーラーもシングル仕様なので、手が届く位置とか配慮はされていますが、具体的にどこにリードされていて、どういう具合に操作できるかをイメージします。つまり、これは自分にとっての操作のし易さをイメージするわけですね。
という事で、まずは見た目のデザインを気に入る事、その次に、SADR値(排水量とセール面積の確認も同時にできます)と内装を見ると、そのヨットのスピードポテンシャルとコンセプトが解ります。そして、さらにデッキ上の配置を見る。デイセーラーは見た目で判断しても良いんじゃなかろうか?速いヨットが好きなのでは無く、速そうに見えるヨットが好きで、それで実際、そのヨットは速い。それをどの程度かを確認する為に、上記した事なんかが役に立つと思います。
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