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スウェーデンのアルコナヨットは、パフォーマンスクルーザーをコンセプトに34フィートから46フィート迄を建造する造船所です。曰く、速いだけなら難しい事では無い、しかし、高いレベルでのクルージング性能を備えながら、尚且つ、セーリング性能を求め、実現していく事は簡単な事では無い。しかし、それをずっと追い求めてきた。それがアルコナヨットである。と言ってました。
この言葉通り、全てのモデルにおいて、内装は高いレベルで造られています。いわゆる、北欧家具ですね。しかも、船底にきちんと積層設置されていますので、さらなる船体の剛性強化にも繋がっています。さて、そのアルコナがさらに高いパフォーマンスを実現する為に、ハルとデッキをオールカーボンで建造しました。それがアルコナ465です。その結果、排水量は9,550kgと軽量化されています。バラスト重量は4,000kg、吃水は流石に深く、標準仕様で2.50m、オプションでは浅い方が2.2m、もっと深い方は2.8mが設定されています。それで、セール面積/排水量比を計算しますと、29.1に達します。因みに、ジブセールは107%です。
29.1という値は、通常は、レーサークルーザーの内装を、それも、かなりシンプル化して軽量化を図ったヨットのレベルです。でも、アルコナ465の内装は、シンプルどころか、かなり豪華に造られています。ビデオは英国のヨッティングワールド誌が取材した時のもので、レポートしているのは、Ms.Pip Hare というヨットウーマンで、ジャーナリスト、セーリングコーチであり、単独で、全くのヘルプ無しで、世界一周をノンストップで達成した筋金入りです。
アルコナ465はセーリングパフォーマンスに偏り過ぎだろうか? それに対する応えは、このヨットの性能を十分に満喫するには、決してビギナー向けでは無い。軽量化された船体とパワフルなリグ、このヨットのパフォーマンスを十分に引き出す為には、それなりの経験を持つセーラーである必要はあるかもしれない。しかし、クルージングとしては、ダブルハンドで十分。メインセールをあげるに、かなりウィンチを回す為のパワーは必要だが、電動にする事もできる。機敏なスプリンターにもなるし、穏やかにも簡単にスイッチできる。
アルコナ社が成し遂げたいターゲットは、セーリングにおけるハイパフォーマンスであり、同時に、クルージング艇としてのハイパフォーマンスです。遂に、フルカーボンでの建造にまで至ったわけですが、レーサーでも無いのに、ここまでやるか? フルカーボンにまでする必要はあるのか? そういう疑問も出てくるかもしれません。でも、このジャンルでは、これ以上のヨットは無い、究極かもしれません。もし、もっと何かを求めるとしたら、それはもうカスタム建造以外、自分のテイストを反映させる方法は無いのではないかと思います。
この465以外のアルコナヨットは、カーボン製ではありませんが、軽量化と船体の強靭化は当然なされています。同じコンセプトの元で追及され続けてきたモデルです。最近ですが、アルコナ345とアルコナ385をデビューさせています。造りこまれた豪華なキャビンでありながら、ハイパフォーマンスである事が、アルコナヨットのコンセプトです。頭一つも二つも抜き出たヨットだと思います。こういうパフォーマンスヨットには、やはりダクロンセールでは無く、ちょっと高いグレードのセールをつけたいものです。