第六十九話 TES 28 クルージング


      

ポーランドの造船所からの連絡で、やっとTES28が出荷されました。現地のシッピングエージェントに造船所にヨットを取に行かせましたので、造船所から出た処の写真です。キールとラダーは外して、別箱に入れて、船体はご覧の通りシュリンクラップというカバーをかけています。さて、これから港へ運んで、通関やって、日本へ。

このヨットは28フィートのクルージング艇です。シングルで旅を楽しむには丁度良いサイズではないかと思います。日本中、どこへ行っても、このサイズなら入れますし、シングルでの取り回しもし易いと思います。このヨットの特徴はと言いますと、クルージング艇ですが、メインシートをブームエンドから取っている事、ですから、舵のすぐ目の前ですので、舵操作と同時に、ウィンチを使う事無く、ワンタッチで操作できます。これは、シングル派でしたら特に重要かと思います。ジブよりメインの方が大きいですから、メインをワンタッチ操作できるというのは使いやすいと思います。

 

 
 
 
 
 
 
 

エンジンはヤンマーの3YM20のセールドライブを設置しました。キャビンはバウとスターン、それとメインサロンがあって、個室トイレ、これは一般的なレイアウトですが、各バース下は大きな空洞では無く、大小の仕切りを造っています。ひとつは物入れの整理がし易い事ですが、もうひとつは仕切りを船底にラミネートしていますので、船体の強化に繋がっています。さらに、例えばですが、清水ポンプが設置された区画、万一、そこで水漏れがあったとしても、こぼれた水が全体に広がりません。

そして、もうひとつの特徴は、ステアリングがワイヤーでは無く、油圧である事です。ワイヤーですと、舵とステアリングを繋ぐコートランドという装置が必要で、これが結構なスペースを取りますが、油圧方式なら、これが不要という事で、スターンのバースはとっても広くなっています。そこから小さなドアが横と後ろにあって、ここから裏側の点検が容易にできるようになっています。


バウにはステップとアンカーローラー兼用のバウスプリットがあり、後部側はトランサムドアを開いて、そこにスウィミングラダーがあります。
 

エンジンルームには作業の為にLED照明がありますし、エンジンルームのハッチやコクピットロッカーのハッチには、それぞれエアーダンパーが設置され、軽く開け、風でバタンとハッチが閉まる事もありません。こういう小さな気遣いが良いです。

 

最後に、このヨットの最大の特徴は、実際の使用に対して、細かい処まで配慮していますし、そして、真面目に造っているという事だと思います。自信をもってお薦めできます。

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