第七十一話 デイセーラーはマニアック?


      

デイセーラーは、そのサイズの割にキャビンが小さい。キャビンよりセーリングを楽しむ事を優先し、潔く割り切ったデザインです。だからこそ、キャビンにおもねる事無く、デザインが美しくできてるとも言えますが、これってマニアックなんでしょうか?

写真はイーグル38ですが、キャビンはワンルーム、そこにバウバースとソファー、反対側にトイレやギャレーが設置されています。少人数なら泊りにも困らない。一方、コクピットは広く、造船所曰く、ここがメインサロンだと言います。そして、シングルハンドを容易にできる。デイセーラーはそこが良い。マニアックと呼ぼうが何だろうが、ヨットは遊びなのですから、好きなヨットを好きな時に、自由自在に使える事が何よりです。


デイセーラーは全て、サイズの大きさに拘わらず、シングルハンド仕様です。一般的に、38フィートと言いますと、シングルでは? と思われる方は多いのですが、低いフリーボード、スリムですし、ボリュームから来る圧倒感は無く、風圧面積も低い。それでもなら、スラスターの設置もできます。どうしても、クルージング艇の38フィートをイメージされるので、シングルでは大変と思われるかもしれませんが、実際はそんな事はありません。日本でも、イーグル44をシングルで自由自在に乗られています。スラスター無しで。

このヨット、標準ではマニュアル操作ですが、要求すれば、プッシュボタンセーリングに変更する事も可能です。そうなると、ますます簡単になって、ちょっと出してくるという気軽な気持ちが湧いてくると思います。それでいてセーリング性能は素晴しい。気軽で、帆走性能は高く、シングルができて、美しい。それがデイセーラーです。

下の写真はフライヤー33です。上記のクラシックデザインとは少し違います。バウが垂直に海面におりてます。その分、水線長を長くしたわけですが、実に姿が違和感無く、自然に想えます。こちらは、キャビンがもう少し広いです。バウのオーバーハングを無くしたせいで、バウバースが、もっと前に移動でき、その分、その後ろ側のスペースが空きますので、そこに左右にソファーを配したデザインです。



デイセーラーはセーリング性能と美しさを求めたデザインだな〜と思います。上の二つに、さらにスピード性能を加えたのが、下の写真、トフィノウ9.7です。見るからに速そうです。



さて、上記三つはヨーロッパデザイン、そして、アメリカからは、代表的なのがアレリオンです。アレリオンは、天才と言われたデザイナー、ハーショフ氏の影響が強いです。写真はアレリオン30です。



ヨーロッパのデイセーラーはクラシックデザインもあれば、モダンデザインもあります。このモダンデザインは、さらなるスピード重視、と言っても、クラシッ系デザインでもハイパフォーマンスですので、さらにスポーツ性を追及したのがモダンデザインです。そして、どういうわけか、アメリカはみんなクラシック系で、モダンデザインのデイセーラーというのが無いんです。ハイパフォーマンスだけど、レーサーじゃ無いと区分けしているのかな?

デイセーラーはマニアックなのか? そんな事はもはやどうでも良い、デイセーラーはスポーツカーと同じ匂いがします。


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