第十三話 ヒンクリーのピクニックボート


      

アメリカの東海岸にヒンクリーヨットという造船所があります。超高級艇として世界的に有名な造船所ですが、そこにピクニックボートというジャンルのボートがあり、これまで25年間に1,000艇以上を進水させています。このボートは非常に高価で、にも拘わらず1,000艇以上を進水させてきたのは驚異的と言わざるを得ません。

このボートにはもちろんキャビンはありますが、ワンルームです。寝泊りを重視したボートでは無く、いわゆるピクニックですし、どこかに行っても、少人数なら泊まれますが、ホテルなんかを利用するというのが前提です。これって、ヨットのデイセーラーと似てますね。このボートも走りを重視し、それはスピードだけでは無く、高い船体剛性で、波に強い。要は、使い方を絞って、それに対して高いレベルを実現してきたボートです。

もちろん、大きなサイズも建造していますが、広いキャビンを持つボートでは、それなりの使い方もあるだろうし、また、こういうピクニックボートは、動かすのに気軽で、行った先での遊び方も違っています。こういう明確なコンセプトを持つボートも、海外では広く受け入れられています。


日本では、大きなキャビンを持つクルージング艇ばかりが目立っていますが、遊び方、使い方、よくよくそういう事を考えれば、いろんな使い方があってしかるべきですし、ヨットやボート遊びが成熟している先進国の欧米では、こういうボートも広く受け入れられています。

デイセーラーにも同じ事が言えます。日本も、それなりの歴史を経験してきておりますので、徐々に成熟度が増し、そうなればなる程、様々な使い方が生まれていきます。その時に、こういうピクニックボートやデイセーラーが、より一層注目を集めるのではないかと見ています。

気軽に乗れるという事は重要で、それに何人を必要とするか? デイセーラーは一人で良いという事です。そのうえで、セーリングを楽しむヨットですから、高い帆走性能を、気軽に、ひとりでも楽に操船できるというのがデイセーラーなのです。忙しい方々にはもってこいではないかと思う次第です。




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