第十八話 中古艇は如何に


      

ご存知の通り、中古ヨット市場には多くの、かなり古いヨットが随分増えてきました。ヨットはそんなに長く乗れるのかと驚きもありますが、それどころか、これからもっと長く乗れる事も解ってきました。FRPというのは、誰が発明したかは知りませんが、凄いもんです。昔、半永久的とか言う人も居ましたが、本当かなとか、疑っていましたが、実際、こうなってくると現実味が出てきました。

但し、船体は良いとしても、電気関係とか、計器とか、モーターとか、その他艤装品がそこまではもたない。今動いていても、明日壊れるかもしれません。そこで、古い、安いヨットを手に入れたからと言って、安心はできないですね。もし、古くても、前オーナーが念入りにメインテナンスを施してきたのなら、それはとてもラッキーです。でも、現実は、そういうヨットは少ない。或いは、オーナー自らが自分で素人メインテナンスをしているのは少なく無い。こういう場合は、逆に、どこがどうなっているのか、わけが解らないヨットも多いのです。

そこで、古いヨットは、一通りのメインテナンスをしてやった方が、その後も長く乗れるし、安心でもあります。この点、海外のヨットはメインテナンスが良く施されている場合が多いです。古くても、とても綺麗なのが多い。何年にどういうメインテナンスをしたとか記録されている事が多いです。

車みたいに10年も経てば無価値なんてのは、レストアなんかする意味は無いかもしれない。一部の名車なんて言われる車は別ですが、そんな車はとっても高価に売られています。ヨットは30年経っても売られており、それならば、メインテナンスを施してやるのが当たり前でなければなりません。そして、その価値が認められなければならない。これからは、中古市場はそういう傾向に進んでいくと思います。同じ年式だから、状態に関係無く同じ価格なんてのは、車の世界、ヨットは、長く長く生き続けるのです。

カタリナ270というヨットがあります。このサイズにしては珍しくステアリングホィールですし、インボードエンジンはヤンマー2GM、残念ながら、さすがにセールドライブではありませんが、シャフトのスタンチューブを水が漏れないタイプに変えます。これから、このヨットを整備していこうと思っていますが、船体はまだ綺麗ですが、少し傷もありますので、それらを補修して、船底は古い塗料を完全に剥がして、塗りなおします。ロープ類は全て交換し、航海灯も全てLEDに交換、新しいGPSとオートパイロットを設置します。さらにドジャーも作り変えます。その他、いろいろやる処がありますが、綺麗になると思います。この先長く乗れると思います。キャビンはバウキャビンとの間にはドアが無いワンルームですが、後部側には広いバースが、もちろん個室ですし、トイレも個室です。それに、このヨットはデザイン的に古さを感じないので、それが良い。

中古は、その古さは兎も角、どんなでも、どうにでもできますが、但し、そのヨット本来のデザインを変える事はできませんので、そのデザインさえ、蘇らせて価値があるかどうかも見る必要はあると思います。古い中古艇だって、その先も長く乗れる。メインテナンス次第です。

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