第二十五話 アレリオン30がやってきた


      

今、アレリオン30が来ています。もちろんデイセーラー、写真はまだキールが設置されていませんが、これからキールを設置し、マストを立て等々の艤装を行います。今回、このヨットにはジブブームを使ったセルフタッキングシステムを採用しています。

28と33は既に日本に進水させてますが、30は新しいモデルで、今回が初めてです。基本的デザインは他のモデルとは変わりませんが、艤装の仕方、仕様は少し異なります。排水量は2,914kg、バラスト重量は1,202kg、バラスト比は41%、セール面積は43.2u(セルフタッキングジブに大きなローチを持つメイン)、セール面積は同サイズのクルージング艇よりかなり小さ目です。それでも、セール面積/排水量比は21.5となり、船体の軽量化が効いている。

排水量からバラスト重量を差し引くと1,712kgしか無い。これはかなりの軽量化を図っており、内部補強においてはカーボンを使っている。と言っても、もっと軽量化した艇もありますが、それは、どこら辺りのパフォーマンスを目指したか次第です。アレリオンはそのうえで、軽いバラストでは無く、結構重いバラストを採用しているので、その分排水量が重くなっているが、セールエリアとの関係を見ると、かなり高い安定性を保持しながらも、スイスイ感を確保している。もちろん、超高速ヨットでは無い、レーサーでも無し、我々一般が気持ち良くスイスイ感を味わえる仕様になっている。バラストを軽減すれば、もっともっと速く走れるが、そこを狙っては居ない。

もし、プロがレース目的を考えるなら、バラスト重量をぐっと落として軽量化を考えるでしょうね。そうすると、もっと速く走れる事になるが、安定性は落ちる。でも、それはセール操作で細かく調整すれば良い。プロですから。そういう考え方になるだろうけど、アレリオンはプロのレーサーに乗ってもらいたいなんて考えてない。我々一般のセーリング好きが、如何に快適にセーリングを味わってもらえるようにするかです。まあ、そういうパフォーマンスもあるんですが、この味わいのあるデザインも魅力だと思います.

有名なデザイナー、故ハーショフ氏の影響はアメリカでは多大で、多くのヨットが少なからず影響を受けています。その中でも、アレリオンシリーズはそれが特に見て取れます。クラシックだけれど、見た目の重さは無く、実際に軽量化されたヨットですが、洗練されたクラシックデザイン、もちろん、水線から以下は、シリーズ最初のデザイナー、シューマッハ氏のデザインによるモダンデザインから始まっていますが、彼もまた存命では無くなり、彼ら二人の影響を踏襲しつつ、アレリオン30はLANGANデザインに寄るものです。見た目の違いは解りませんが、そこかしこに進化が見れます。


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