第三十三話 使用目的を絞る 


      

現代のクルージング艇は何でもできる。セーリングは当然として、パーティーやっても良いし、泊りもOK,船内は快適に過ごせます。日本沿岸の旅にも、大人数でも何でも来いという感じかもしれません。だから、最も売れています。装備さえ充実させれば想像した事はたいてできます。多機能ですから人気も高いのは当たり前ですね。

一方、上の写真の様なデイセーラーはそうは行きません。何が違うって、キャビンの広さが全然違う。だから、これに船内装備を充実させてなんて考えません。キャビンはあまり重要とは考えないのです。では、このヨットの目的はどこにあるのか?それはセーリングに集中しています。という事は、セーリングに関しては一味も二味も違うのです。つまり、こういうデイセーラーは何でもできるわけでは無いが、セーリングに関しては抜きんでている。そこが一番のポイントです。このヨットはセーリングを如何に楽しめるか? という課題に挑戦し続けてきたヨットです。

写真のヨットはオランダのデイセーラー、イーグル38。このサイズをシングルで自由自在に操作する事ができ、そのセーリングは速いだけでは無く、セールフィーリングにあります。海面は近く、船体剛性が高いので波のプレッシャーに負けない。それが実に滑らかなセールフィーリングを生み出します。また、クラシックデザインの永遠性と、デッキアレンジメントや水線以下は最新のデザインが施されています。つまり最新のクラシック艇と言う事です。

何でもできるヨットでは無いが、セーリングに優れている。こういうヨットの特性は使い方を限定してしまうかもしれないが、それだけにセーリングにおいては最高を味わう事ができます。38フィートにして3,800kgの排水量、それに59.8uのセール面積は、SADR24.9に達します。これはかなり高い値です。

標準仕様ではマニュアル式ですが、望めば電動ウィンチやメインファーラー、ジブだってセルフタッキングにする事も可能、そうすれば少しセール面積も削減されますが、それでも充分なスピードを確保できます。メインシートだって電動で出し入れなんて事もできるのです。

何でもできるクルージング艇を手に入れたなら、是非、クルージングだけでは無く、パーティーも泊りも楽しんで頂きたい。それがクルージング艇の特性を最大限に活かす方法です。一方、ヨット最大の特性であるセーリングが得意という明確なコンセプトを持つデイセーラーも素晴しいヨットライフを創ってくれます。マリーナに来て、さっと出して、スイスイ走る快走感は何事にも代えがたい。
目的を絞ると、そこに平均以上の面白さを獲得する事ができます。丁度、スポーツカーが一般乗用車とは異なる次元の楽しさを持っているのと同じ様なものだと思います。こういうヨットは、たとえゆっくり走ってもグッドフィーリングを与えてくれます。



是非、下のビデオをご覧下さい。

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