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今日のデイセーラーはいろんな造船所から排出されています。共通するのは、デッキが低い事で海面が近い、スリムである事、シングルハンドであり、高いパフォーマンスです。異なる処は、クラシック系デザインかモダンデザインか、その両方をミックスしたような感じもあります。それとセーリングパフォーマンスです。
つまり、共通部分はどれも同じなので、まずは、ここに納得できないとデイセーラーを選択する事が出来なくなります。納得できたら、そのうえで、違いを選びますが、まずデザインは好みの問題ですが、実はこれがパフォーマンスにも関係していて、パフォーマンスは、いずれも高いのですが、もっと高いかそこまでは無いか。例えば、スポーツカーでも同じで、トップスピードが時速300kmを超えるような車もあれば、200km越えぐらいのもあるのと同じです。そして、超速いデイセーラーはモダン系デザインです。恐らく、これは超軽量化を目指す場合にそうなってくるのだろうと思います。水線長の長さや内装にしてもです。
排水量やセール面積、水線長という様な要素をどう取るかで、そのヨットのパフォーマンスが決まってきますが、それらのデータを見て、さらにセール面積/排水量比を計算してみれば、だいたいの事は解る。言っときますが、全てのデイセーラーは高いパフォーマンスです。その中でも超速いというのもあるという事、それは速い順に言うと、モダン系、クラシック/モダン系、そしてクラシック系の順で、そのクラシック系でも高いパフォーマンスだという意味です。
どのレベルを求めるかは、個人の要求次第ですが、一般的に言うと、クラシック系デザインで充分なパフォーマンスを持っているという事です。誰もが、時速300km越えのスポーツカーを求めるわけではありませんから。それで、パフォーマンスの違いによって何が違っていくか?
微軽風では軽くて、セール面積が大きい方が速い。これはセール面積/排水量比を比較すればわかります。数値が大きい方が速い。鋭敏だし、スポーツ性が高いと言えます。より繊細ですね。そうなると、一方では強風時に安定性が減じられます。それゃあそうです。排水量対してセールが大きいわけで、安定性は排水量に制限を受け、セール面積に影響されます。だいたい船体を極端に軽量化して、その代わり、バラストをその分重くするという様な事は無い。物理的には可能だが、そうはしない。超速いデイセーラーはスポーツ性を高め、それはいろんな操作を、より細かく楽しむ処にある。だから、強風になったら風を逃がすのもいろいろ操作するわけです。それが面白く、繊細に反応してくれる。それをスポーツして楽しむというわけです。
これに比べたら、クラシック系は少し穏やかになります。でも、前述した通り、一般的には充分なパフォーマンスを持つと思います。だから最もお薦めなのですが、その中間的なクラシック/モダンデザインは、まさしく中間的です。上の写真はフライヤー33、排水量:2,700kg、に対してセール面積:46.5u、それでセール面積/排水量比は24.4です。これと同じサイズのクラシックデザイン、アレリオン33ですと、排水量:3,900kg、セール面積:50.1u、それでセール面積/排水量比は20.7です。排水量が全然違います。また、もっと速いヨットとしてモダンデザインのA33は排水量はフライヤーとあまり変わらず2,600kgですが、セール面積が67uもあり、セール面積排水量比は何と36もあります。
一般的に我々がセーリングを楽しむ時、微軽風もあれば強風もありますから、総合的に見てもクラシック系やモダンクラシックデザインで充分なパフォーマンスだと思います。モダン系のA33は超速い。一般的に楽しむには持て余すかもしれません。中風以下の風だけなら行けるでしょうが、強風では難しくなるのではと思います。ベテラン向きとも言えます。
また、ヨットサイズによってもセール面積/排水量比は大きく違ってきて、大きくなれば、より数値を大きく取る事ができます。例えば、イーグル54は典型的なクラシックデザインですが、セール面積排水量比は30になります。でも、このヨットサイズのお陰で、30あっても操作は楽なんですね。つまり、ヨットサイズとセール面積/排水量比、これが物を言う。でも、見た目のデザインから入って良いと思います。どれもがグッドパフォーマンスなのですから。
最後に、デイセーラーはキャビンが狭いのですが、下の写真はフライヤー33のキャビン。使い方によっては充分、ショートクルージングにも行ける。とは言いましても、最も強調したいのはセールフィーリングの良さなのです。デイセーラーが目指したものはパフォーマンス、そのパフォーマンスはスピードだけでは無く、セールフィーリングだと思います。是非、滑らかなセールフィーリングを味わって頂きたいと思います。
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