第四十一話 デイセーラーの使い方


      

デイセーリングはどんなヨットでもできます。しかし、デイセーラーのデイセーリングは他とはちょっと違う。そこがデイセーラーがデイセーラーである所以という事になります。それはどういう方々に向いているか?例えば、旅をそんなに求めていない。ヨットに泊まる事もあまり考えない。それより、気軽に、シングルで、気が向いた時にいつでも出せる。そんな気軽さを持ちたいという方々は少なく無いと思います。

そして、一旦出せば、良く走るし、走りの質は高いし、海面は近く、実に気持ちが良い。しかも、シングルでこなせる。この気持ち良さこそがデイセーラーのデイセーラーたる所以です。それに、初心者でも操作し易いし、ベテランにとっても高度に走らせる事もできる。さらに、見た目のデザインもなかなか格好良いと思います。何故なら、人間の背の高さに合わせて、高いキャビン天井にしていない。ハルも無理やり、フリーボードを高くなんてしていない。

確かに、フル装備のクルージング艇も魅力があるだろうが、一方で、そんな装備も無く、シンプルで最低限の装備だと、操作もメインテナンスも楽なんです。楽なうえで、高い帆走性能を快適に味わえる。これこそがデイセーラーの魅力なのではないかと思います。滑らかなセーリング感を味わうと実に気分が良いのです。

ぶらりと立ち寄ったマリーナ、良い感じの風があって、ふっと出したくなる。そんな時に、何の躊躇も無く、あれこれ出航準備が必要だったり、終わってからの片付けが必要だったり、そういう手間をできるだけ省けて、さっと出れる。これなんかでも魅力的に思えます。

上の写真はフライヤー33。ヨーロッパ系のクラシカルデザインに、バウは現代風に垂直に降りてます。このヨットの特徴は、帆走性能が高く、セール面積/排水量比が25にも及ぶ事もありますが、セールコントロールのシートの取り回しが一般とは少し違います。下の写真で、これはコクピットのベンチシートの背もたれにあるボックスが左右舷にあり、ここに、メインシートとトラベラーのコントロールがリードされています。そして、左右舷のどちらを使ってでもメインセールをコントロールできます。

  左の写真のボックスが左右舷の背もたれ部に
  あります。ここにリードされたトラベラーコン
  トロールとメインシート、舵を握りながら、ブ
  ローに対しても、即座に、簡単に対応できま
  す。そして、その背面にあるのがジブシート
  ウィンチ、メインの方がでかいので、まずはメ
  インでしょう。





   因みにジブのドラムははデッキ下収納タイ
  プ。写真のチークは人工ですがナチュラル
  チークも選択できます。ドラムのコントロー
  ルラインは、上の写真の左舷側のボックス
  内にリードされていますから、ジブの展開も
  巻き取りもジブシートウィンチのジブシートと
  近く、これも操作し易い。





  コクピットです。コクピットのシートと床のチ
  ークは標準で、人工(種類あり)かナチュラ
  ルチークを選べます。チークデッキはオプ
  ションで、これも人工かナチュラルチークか
  を選べます。








  両サイドに大きなロッカー、トラベラーの後ろ
  にもロッカーがあります。











  スターンのオーバーハングは如何にもクラ
  シックのイメージ。










  人工チークを選択したら、その色と目地の色
  も選べます。もっとチークに近い、そっくりな
  のもあります。












  マストはオンデッキだから雨水が入らない。
  エンジンはセールドライブなので、海水も入ら
  ない。








 
  キャビンです。バウバース、手前左舷にギャレ
  ー、その対面がトイレ(覆い隠す蓋が付いて
  ます) また、トイレ用プライバシーカーテン
  が付いてます。現在、ドアも検討中。
  誰かがトイレを使う時は、キャビン入口を閉め
  るかしても良いと思います。第一、トイレは滅
  多には使わないけれど、女性用として必須で
  すね。
  ハーショフスタイルのホワイトとチークトリム
  をあしらった、クラシックな雰囲気ですね。


  キャビンの後方ですが、こうして見ると、シー
  トはかなり長い。そして、ソファーの背もたれ
  をレールに沿って、後ろ側にずらして移動させ
  れば、座面ソファーが広くなって、ゆっくり眠
  れます。






 
  みんなと一緒に走るも、シングルで走るも
  自由自在。 因みに、標準でついてくるセー
  ルはダクロンでは無く、ノースのノーラムセー
  ルとグレードアップ。
  コクピットのチークは標準ですが、デッキはオ
  プション。ナチュラルチークか人工チークか?
  メインテナンスも考えると迷うまもしれません
  ね。






クラシックテイストのフライヤー33です。アメリカのとは異なるクラシック感、エレガントな感じがなんとも魅力的。デイセーラーの特徴はデザインの美しさ、出航する際の気軽さ、帆走の操作性の高さ、もちろん、帆走性能の高さ、但し、キャビンの天井高は低い。でも、住むわけじゃなし、その分海面は近いし、重心も低い、その方が良いという価値観を持つ方には絶対お薦めです。また、最近のヨットはどれもがジブよりメインの方が大きいので、メインセールコントロールが素早く、簡単にできるというのが良いと思います。

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