第五十二話 カスタムヨット プロジェクト PC47 ついに完成


      

カスタムヨットプロジェクトのPC47(パフォーマンス クラシック)がついに完成致しました。このヨットは完全なカスタム艇で、オーナーご希望及びデザイナーや造船所の協議をもって、細部に渡るまで最新の装備をもってカスタム建造されてきました。コロナの影響もありましたが、約2年間に及ぶプロジェクトです。それが遂に完成し、造船所のあるトルコのボドルムというリゾート地にて進水致しました。

オーナーは47フィートというサイズですが、シングルハンドを可能にする為に、様々な装備を施し、またデイセーリングさえも気軽にできる事を前提に建造されました。従って、このサイズですが、シングルハンドで、デイセーリングさえも可能、後は、自分自身の慣れ次第という考え方、もちろん、外洋に出る事も前提にある事は当然です。

クラシック感のあるデザインに、吃水以下はモダンデザインでフィンキール+バルブ、高い帆走性能を維持しつつ、容易な操作を可能にしています。ハル塗装はオールクラフト2000,デッキは本物のチーク、ウィンチは全て電動、セルフタッキングジブ、メインはブームファーリング、そしてバウスラスター等、全てコクピットから操作できます。

メインシートは最初のデザインではブームエンドからのリードでしたが、キャビン入口前に移動させ、ブーム中央から取る事になりました。その理由は、どうしても大きなビミニトップが欲しかったからです。写真にはありませんが、かなり大きなビミニがあります。そして、ブーム中央リードとなりましたので、ブーム中央部に特に大きなストレスがかかる事になりますので、ファーリングブームを特別に強化してもらいました。セールはダイニーマ素材のセルフタッキングジブとフルバテンメイン。ダクロンではありません。と言いますのも、ダクロンですと、初期は良いのですが、徐々にセールが伸びて、ファーリングで巻き取る時とかに綺麗に巻けなくなる可能性があります。そこで、伸びにくいセールとし、もちろんセーリングパフォーマンスにおいてもその方が良い。

クルージングも視野にあり、冷蔵庫、冷凍庫、陸電、エアコン、また、Raymarineの最新計器も設置しています。ところが、ここまでやって、誠に残念ながら、これが日本に来る事はありません。何故なら、不幸にも、オーナーが建造途中で事故によって他界されてしまいました。それで、現在は現地にて、このヨットの新オーナーを探す事になりました。

有名なHoekデザインによる最高のデザイン、カスタム建造専門のMetur社、皆さんの協力でなされたPC47が日本の海でお披露目出来なかった事は残念ですが、デイセーリングから外洋クルージング迄をこなすこのコンセプトは、これからの大型艇のあり方を示すのではなかろうか。オーナーのご冥福をお祈り致します。

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