第五十五話 パフォーマンスクルーザー、アルコナの可能性


      

イラストはスウェーデンのアルコナ50,アルコナ社のフラッグシップ艇です。コンセプトはハイパフォーマンスクルージング、通常のクルージング艇と違うのは、高い帆走性能と高い船体剛性、内装はかなり高いレベルで造り込まれています。つまり帆走は速く、しかも外洋ロングの旅にも行ける。そんな質の高いヨットです。

このヨットをどの様にするかはオーナーの自由で、より楽にクルージングを楽しむ為にオール電動化もできます。ただセーリングのポテンシャルも高いので、セールをより伸びにくいセールにしても良い。オーナーが自由に選択する事ができます。外洋ロングに行くにストームジブをと言うのであれば、インナーフォアステーを設置しても良いと思います。この様に、セーリングにもクルージングにも高いポテンシャルを持っていますので、オーナーのコンセプトに合う艤装をする事ができます。

吃水は3種類あって、2.2m、2.5m、2.95m、バラスト重量は吃水に合わせて、6,000kg、5,200kg、4,600kgの3種類、そうなると排水量もバラスト重量の違いで、15.3t、14.5t、13.9tと、これも3種類となります。つまり、コンセプトに合わせて選択する事もできます。

セールはセルフタッキングジブか又は110%ジブ、メインセールを含めたセール面積の合計はセルフタッキングジブの場合で142u、110%ジブの場合で151u(メインセールは86u)です。それでセールをセルフタッキングにして、吃水2.2m(バラストは6,000kg)の時、排水量は15,300kgですから、SADRは23.4となり、結構高いポテンシャルです。次に、110%ジブとメイン、吃水は最も深い2.95m(バラスト4.600kg)を選択しますと、排水量は13,900kgで、セール面積は151uですから、SADRは26.56となり、かなり高いセーリングのポテンシャルを持ちます。

従って、どちらかと言うとクルージング方向に寄せるとすると、オール電動化はもちろん、セルフタッキングジブにして、吃水も2.2mのほうになるでしょうし、スピード重視寄りにすると110%ジブに吃水を2.95mとなるでしょうね。その中間もあります。 クルージング寄りにしても結構速いので、レースを楽しみたいかどうかが、その判断規準になるのかもしれません。

つまり、高いポテンシャルを持つこのヨットには、オーナーの希望に応じて仕様を自由に選択する事ができ、元々速いヨットはどうにでもする事ができるという事になります。そして最後に、このヨットは二人居れば、楽に走らせる事ができる。レースを楽しむ時に何人かのクルーと走らせても良いし、セーリングや旅の時にはダブルハンドでも良いという事です。オーナーが自分のコンセプトに応じて自由に艤装する事ができます。ところで、イラストはメインをブームファーラーにしていますが、自由に艤装とは言え、クルージング仕様にしても高い帆走性能が売りですから、マストファーラーは受け付けないだろうと思いますよ。多分。

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