第六十六話 スポーツして遊ぶ 


      

速くて反応が良いとセーリングはぐっと面白くなります。速いからレース用と決めつけなくても良いし、普段使いでセーリングを面白くしてくれます。写真はフランスのトフィノー9.7、セール面積/排水量比は27と高く、ヨッティングワールド誌の試乗では10〜12ノットの上りの風でボートスピードは6〜7ノットと記載されています。まさしくスポーツカーの感じですね。もちろん、このヨットはデイセーラー、キャビンの天井は約1.4m程度で、内装はシンプル、低いフリーボード、幅は2.99m、排水量は2,300kg、まさしくセーリングを楽しむ為のヨットです。

車でドライブ、バイクや自転車でツーリング、そんな感じでセーリングをスポーツして楽しむ。ちょっと走って来ると出かけて、2〜3時間、自由自在のセーリングを堪能してくる。何もかも忘れて気分は爽快、そんな遊び方も良いんじゃないでしょうか?フェラーリやポルシェだってカッコよくて速いわけで、それと同じ様に捉えて走りのあらゆる様を味わう。スピードだけでは無く、反応も良い。

重いヨットだって、吹けば程度の差はあれ良く走る。でも、速いヨットは弱い風でも走ります。だから退屈する事は無い。で、強風になったら当然走りますが、ちょっと怖くなったらセールのリーフを大いに活用したいので、コクピットから一本のロープで簡単にリーフできるようにシングルラインリーフを採用します。ジブを巻き上げて、メインをリーフして、それ以上吹くなら2ポイントリーフなんて考えないでセール降ろして帰った方が良い。無理しても楽しくなりませんから。

良く走ると必然的に意識はセーリングに向かいます。だからより繊細な変化でも感じ取る事ができるようになって、それが当たり前の感覚になる。上って、ギリギリまで上って、何度もまで上れるか。タックして何度でタック出来るか、少し落としたらスピードは上がります。もう少し落としたらもっと上がる。下りになるとスピードは落ちてくる。また、弱い風の時はコードゼロが面白い。上れるし下れる。ジェネカーよりは面白いのではなかろうか?最近は両方のセールを意識したセールも出てきた。もちろん、レー用では無く、セーリング用です。

あらゆる角度、あらゆる風速、波もあるし、いろんな状況があって、どういう具合にセーリングできるだろう?どんな感じ? それで自由自在になれたら最高のスポーツが楽しめる。強風はリーフの活用なので、微軽風にどれだけ走れるか、そこが速いヨットの速い所以でもあります。レースしても良いが、しなくても良い。海外ではこんなヨットでレースもしますが、殆どの場合はデイセーリングを楽しむそうです。シングルで、家族で、速いヨットはレースという決まりはありません。フェラーリ乗ってる人はレースに使う?そんな事ありませんよね。

ヨットはいろんな使い方がありますが、そのひとつのセーリングというのはヨットの軸です。それを如何に堪能できるようにするかというのが重要なテーマで、これはオーナーの創造力如何にかかってくると思います。しかし、それさえ面白さを感じる事ができたら、それは偶然の風だからでは無く、意識的にあらゆる角度と風速で創造できたら、これ以上の面白さは無いかもしれません。

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