第六十七話 海を選ぶ


      

いろんな事を書いてきましたが、要は海を味わうという事ではないでしょうか? 陸上とは全く異なる世界を、いろんな方法で味わいに行く。その手段はセーリングやレース、クルージング、ピクニック、泊りもそうだし、これらあらゆる事は海を味わう為の手段という事になります。そして、その手段の中身には、それぞれの経験と感覚があり、やっぱりそれに対応する海があります。同じ海でも、方法によって異なる海を味わうという事になります。

さて、どこでどんな海を味わうか? 多くの場合はできるだけ居住宅に近い海という事になりますが、もっと広く考えれば、海を選ぶ事だって可能です。1年半ぐらい前にトルコのボドルムという処に行きましたが、そこのマリーナにはトルコだけでは無く、ヨーロッパ中から、アメリカからも来ていて、とても美しい街と海がそこにはありました。オーナーは世界中に散らばっていますが、トルコにヨットを置いてました。とは言っても、海外にヨットを置くにはハードルが高いと思いますが、でも、日本国内であれば、どこだって選んでも良いかもしれません。欧米とは休暇の取り方の違いもあります。でも、日本国内であれば、まだ何とかなる。週末程度では少ないかもしれませんが、1週間もあれば、日本中どこであっても、たっぷりとその街と海を味わえるのではないでしょうか?

その気に入った街と海をどのように味わいたいか? 変化にとんだ海岸線、美しい海、微軽風や強風はどこの海に行っても同じですから、その対応は自宅近くの海でも同じです。でも、海そのものは全く異なります。そこで、デイセーラーからクルージング艇まで、いかようにも楽しむ事ができます。まあ、早い話が数年楽しんで、別の場所に移転する事だって可能です。これが一度そういう事に慣れてしまうと、移動するにも気軽にできるようになれると思います。

日本にだって、海外に負けない様な美しい海がたくさんあります。そこでセーリングしてみたらどんなに気分は違うだろうか。やる事はどこにいても同じかもしれませんが、海は違う。その海を、街を味わう事がヨットをやる最大の意義なのかもしれません。そして、それを通じて気分を味わう。それこそが究極の目的だと思います。その究極の目的の為に海を選ぶ。

もちろん、自宅の近くに置いても良いわけですが、ここでは、日本のどこかの海を調べて、気に入った海にヨットを浮かべて遊ぶという方法もあるという事で、そうすると、すぐに行くという事はできないでしょうが、その代わり、美しい海と街を楽しむ事ができる。そういう方法もあるという事です。瀬戸内海や九州とか、如何です? 既に実行されている方々も結構おられます。

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