第八十三話 粋だね〜


      

ヨットは全く実用性の無い遊び道具です。それでも、何やかやと考えてしまいます。あれは付いてるか、これはどうだとか、ま〜、それが普通ですが、上記の写真は32フィートのデイセーラー、このヨットにはキャビンの天井が高いとか低いとか、広いとか狭いとか、設備がどうとか、そんな評価は無用です。何しろ、キャビンなんか全く無いのですから。だから、一般的な内装設備は皆無です。トイレさえありません。あるのはセーリングに関する艤装だけです。

ここまで割り切れるとしたら、昔なら、”粋だね〜”と一声かけられたかもしれませんね。今なら何て言うでしょう? それは兎も角、こんなヨットにもし割り切れたら、かえって気軽に遊べるのかもしれません。寝泊りするキャビンは無いので泊まれない。ちょいと出して、その辺りでセーリングをしてくるだけです。どこかに行っても、ホテル泊り、それにしたって一泊程度で帰るぐらいでしょうか。だいたいそんな事しようとさえ思わないかもしれません。

こんなヨットは使えない。あれもこれもできない。という制限があると一般的に受け入れられる事は難しい。でも、物は考えようですが何でもできるヨットより、何処かに特化した方が、それを堪能するには最高だと万一考えるならば、逆にできる事に集中するし、それが遊べるだろうし、余計な事も考える事も無くなります。そうこう考えると、逆に使える様な気もします。こんなのに乗ってるなんて粋だね〜と聞こえてきそうな気もします。でも、普通は割り切れない。だからその潔さがカッコイイ。粋だね〜!

このヨットに限らず、何でもできるヨットをいろいろ考えるより、何かに特化した遊び方の方が、より面白くなるかもしれません。セーリングしかできないとしたら、それ以外はそれ以外で遊ぶだろうし、セーリングする時は目一杯集中して遊べるかもしれません。そんな考え方もあるんだろうなと思います。

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