第七十話  スポーツ以外のその他

   
   

まあ、セーリングばかりに意識を注ぐわけではありません。たまには違う事もしたい。その典型がピクニックですが、ここで個室トイレが必要だと考える。何故なら女性を乗せたいからです。でも、デイセーラーには個室では無いのが多い。良いんですよ、キャビンの戸を締めておけば。彼女達もデイセーリングで滅多に使う事は無い。個室トイレの為にセーリング性能やその他を犠牲にします?トイレが無いわけじゃないですから。考えすぎかもしれません。

彼女を乗せて、家族を乗せて、友人を誘い、しかし、ただおしゃべりや飲食に興じるばかりでは無く、既にセーリングをしてきたのですからその感覚が身に付いているわけですから、ただのピクニックでは無くみんなで走らせるという遊びをする方がゲストにしても楽しめると思います。彼女達が遊園地に行って何を楽しむかはやはり非日常です。セーリングはその際たるもの。ゆっくり、のんびり、安全にばかり考えるから二度と来なくなる。何故なら楽しくないからです。非日常は最初の30分しか持たない。

ピクニックでは無いにしろ、特にひとりでの時は何も考えずに走らせる事もある。感じているだけでも良い。何か思索にふけっているかもしれない。そんな時だって海に出てセーリングはとてもいい環境になります。それもセーリングを理解しているからこそ無意識的な操作もできます。でも、感覚はセーリングにあります。こんな時セーリングはリフレッシュにするのに最適だと思います。

宴会も良いし、泊まっても良いし、いろんな使い方を混ぜて、陸上生活をONとするならヨットは遊びでOFFですが、ヨット遊びの中にもONとOFFを使い分ける。望むなら旅もできます。近場ならまだ気が楽です。要はしょっちゅう乗ってバリエーションを設けて、ONもOFFも楽しむ事ができるように自分でアレンジしていかなければなりません。自主性が大事です。一般的な遊びは誰かが接待してくれます。友人や家族やお店の人とか誰かがもてなしてくれます。そうでは無いヨット遊びは自分で自分自身や周りの人達を遊ばせる。接待するわけです。どうしたら楽しんでもらえるか?そういう工夫を自分がする事になります。でも、楽しんでくれたらこっちも嬉しいです。

欧米人と日本人は民族性が違います。欧米人は特に何かをしないと楽しくないという感じが無いように思います。キリスト教で言うところの仕事は罰という感覚もあるかもしれません。だからプールサイドで一日中読書したりとか、日本人にはそんな遊びはできない。毎週末にヨットに泊まって、ヨットも出さずに月曜の朝出勤する。そんな事はできない。何かをしたい、できれば特別の何かを。それが日本人なら日本人らしく楽しむ方法を考えれば良いと思います。

軸を持つ事が重要だと思います。何をするにしても自分の主軸は何か?それでヨットがヨットである最大の所以はセーリングだと思いスポーツセーリングを推奨してきました。セーリングを普段は堪能しているのです。だからこそそれ以外の何でも楽しむ事が出来るのではないかと思っています。ですからセーリングをスポーツしましょう。それでもし、これに同意して頂けるならデイセーラーが最適なヨットだと思います。何故ならそれがデイセーラーの主たる目的としてデザイン、建造されているからです。

海という非日常だけでは長年に渡って楽しみ続ける事は難しい。進化、成長する変化が必要なのではないか? そのうえでいろんな事もやる方がトータル的に面白さ、楽しさを永年に渡って演出できるのではないかと思います。ヨットはそれこそ一生楽しめるライフなのですから。


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