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最初はエンジンだけ使ってホームポートの周辺を散策、どこに何があるか、それについでに桟橋からの離着岸にも慣れておく。次はセーリングです。とは言っても最も簡単な方法です。舵取りは当然やるにしても、セールの方は風に立ててメインセールを上げて、ジブセールはファーリングから開く。そして舵で行く方向を決めたらそれに応じて、セールがバタバタしない程度にジブシートとメインシートを出すか引く。つまり、使うロープはメインとジブのシートのみです。これでセーリングはできます。
エンジンを切れば無粋な騒音は消えて風の音、それでヨットはセールのみで静かに走ります。この爽やかなセーリングをできるだけ何回も味わって頂きたい。もちろん天候の具合もあります。強風もあれば微風もあるけれど時を選んでできるだけ数多く味わって慣れて行きます。強風で出れない時、自信が無い時は無理せずに、でもヨットに行って自分のヨットに馴染んで欲しい。できるだけ多くの自艇との接触が知らず知らずのうちに馴染ん行きます。
初期のセーリングはこれで良い。マリーナから出てセーリングして帰って来る。複雑な理屈や繊細さは要らない。身体と心が自艇と海と風に馴染む事が大切だし、そうなると気軽にセーリングを楽しむ事ができるようになります。ヨット出さない時でもお茶するだけでも良い。ただ、できれば自艇がどこに何があるか、デッキ上には何があるか、船内はソファーの下の隠れた処に何があるか、或いは何も無いのかを見ます。これが解っているといつか役に立つ。デッキ上のロープも各ロープは使わないにしても引けば何がどうなるかを考えてみても良い。考えると一体どういう時に使うかと疑問が出てくるかもしれません。
最初はシート操作だけで良い。ひとりでも仲間とでもまずはピクニック気分で気持ちよくセーリングを味わえるように慣れる事が先決です。ワンシーズン通しても良い。先は長いですから。馴染んで気軽にセーリングできるようになる事はとっても重要だと思います。 その後、もし、このセーリングに物足りなさを感じ始めたら次の段階ですね。それまでで既にヨットという乗り物、海というフィールドにそこそこ慣れてきているはずです。そしてこれまでのセーリングの中で疑問も多く出てきたと思います。
以前にも書きましたが、セーリングは風向に対しては走れないし、その左右約45度づつ90度(ヨットの性能に寄りますが)の範囲に向かっては走る事がで来ません。よってジグザグに左右に45度ぐらいで上っていく事はできますから、ジグザグながら最後には目的地に到着する事が出来ます。この風に対する上りのセーリングとそれ以外の方角の二つのセーリングしかありません。 ただ、真後ろから風を受けて走る場合は揚力が発生しないので遅くなり、よって上りの逆ですがこれもジグザグに走ります。
そこで一歩進んだセーリングとしては上りで走っているか、それ以外かを意識して走る事だと思います。その他の細かい事は置いといて、上りの角度稼ぎで今走るかそれ以外かどっちを選んで走るかを自分で決めます。この意識をする事で今後のセーリングの仕方にこの意識が反映されて来ると思います。
それで上る時、目的地は風向の直接は狙えない方角にある時、それが風向より右側にあるか左側にあるか?あるいは丁度風向の方角にあるか? 風向の線上に目的地があるなら右からでも左からアプローチしても同じ条件になります。しかし、目的地が風向の右側にあるなら右側からアプローチした方が近い。真北のコンパスで0度から風が吹いてきているとしたら目的地がそれより右の10度の方角だとしたらヨットが風に対して45度で上ると目的地に対しては35度でアプローチする事になり、それを左からアプローチすると315度走る事になり、目的地に対しては55度という角度になります。こっちの方が遠い。
上りのセーリングはこの角度を意識します。風向に対して目的地はどの方角にあるか?それで目的地により効率的近づくにはこの風向でどっちからアプローチした方が良いか? 走り始めても途中で風向が変わります。その風向の変化が有利に働くか不利に働くか? 前述の風向0度が10度になれば目的地と同じ方角、20度になればもうそのまま右側から走ったのではコンパス角度65度で走る事になり目的地に対しては55度で走る事になる。ならばタックしたらコンパスで335度で走れて目的地に対しては35度で近づける事になります。文章にすると面倒くさいですね。でも考えてみて下さい。必ず慣れますから。
こんな事しなくてもセーリングは自由に走りたい方向に走って楽しむ事ができますが、でもルールって案外あった方が面白さが増します。ですからルールを採用してそのルールで如何に効率良く走る事ができるかとルールを遊ぶわけです。それがスポーツです。この場合ルールというよりはヨットの特性ですね。
この上り以外は目的地に対して真っすぐ走れます。という事は舵はそこを狙っていきますが、風向や風速が変わるのでセールを出したり引いたりのシート操作だけ。上りのセーリングとそれ以外のセーリングと走らせ方が違うという事を意識し理解するだけでセーリングの概要が解る。そうすると次にまたいろんな疑問が湧いてくる。解る、上手くなりたいというのがスポーツだと思います。何故なら面白くなりますから。
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