第九十三話 メインテナンスは誰がやる?

   
   

ヨットが古くなればなる程メインテナンスの重要性は高くなる事は誰もが承知している事だと思います。ただ問題は誰がメインテナンスをやるのか、どこにメインテナンスをやってくれる人達が居るのか?全部自分でやれるのなら問題は無いが、それもなかなか難しい。不具合の原因を探り、必要なパーツを見極めて手配し、自分で設置する。エンジン関係、電気、FRP、計器類、配管、その他多くの設備があるわけで、それを全部やれる人はなかなか居ない。

という事は専門の業者に頼む事になると思います。マリーナに居るならマリーナに頼むか、そこの出入りの業者が面倒見てくれるでしょう。しかし、漁港とかに居るなら出入りの業者はエンジン関係とか船底とかはできてもヨット関係となると難しいかもしれません。そこで他のヨットオーナーさん達に聞いてメインテナンス業者をいつでも手配できるようにしておく必要があります。

絶対ではありませんが、マリーナ保管のヨットに比べて漁港等の保管の方がメインテナンスはあまり良くないように感じます。ヨットには様々な設備があり、いずれにしろオーナーがより知っているに越したことはありませんが、全部知るなんて事はとてもとても。やはり専門のメインテナンス屋さんは知識も経験も豊富ですから敵いません。

ただ、自分でできるだけ判断がつけられると業者に頼むにしてもより簡単に済むようになります。例えば、ただエンジンがかからないとか、ただスイッチが入らないとか、結果だけを告げられてもそれだけでは判断はできません。具体的にどういう状態なのかを自分で点検できればそれに越したことはありません。それにこういう姿勢は自分のヨットをより詳しく知る事になっていきます。

中古市場には多くの古いヨットが増えてきています。これはもちろん当たり前の事なんですが、重要な事は船齢よりもメインテナンスがどれだけなされてきたかです。ヨットはもっともっと長持ちします。とても優秀なんですね。長持するからこそメインテナンスが重要なんです。あるアメリカの記事なんですが、ヨットの寿命は良い造りと良いメインテナンスなら100年は持つ、少なくともオーナーより持つと。だからヨットはメインテナンス次第です。

その為にオーナーが誰でも出来る事は掃除です。無用な物は撤去してたまにはクリーニングしては如何でしょうか?そしてその際に必ず不具合等があれば発見できます。発見が早ければ簡単に修理ができて遅ければコンプリート交換なんて事にもなります。要はヨットを使う事、動く物は動かしてやる事、これなら誰でもできます。古いロープを交換してやれば気持ちも良いし使いやすくもなります。荷物が少なくなってスペースができると点検するのもやり易い。こんな事が初期では何でも無くても10年、20年、30年と古くなればなる程積み重なっていくと大きな違いを生み出します。そんな事は分かっちゃいるけどかもしれません。全部一度にや必要は無い。時々でも少しづつ。定期的にエンジンかけるだけでもメインテナンスのひとつ。
兎に角多く使う事ですね。

自分で乗りつぶすなら自分だけがリスクを負うわけですが、いつか売るとなると、そこに大きな違いが生まれます。どちらにしてもメインテナンス不足はリスクになります。だから面倒見てあげましょう。それが自分自身にとって大きなメリットになりますから。


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