第九十七話 最後のヨット 

   
   

高齢化によって引退される方もおられるし、中には最後の艇を求める方もおられます。最後のヨットとしてどんなヨットが相応しいか、わくわくしてきますよね。最後の一艇となると尚更です。これまでどんな乗り方をしてきたのか、それと同じ路線で行くか、或いは全然違うスタイルに行くか?

先日、ある70代のオーナーと話をしていたんですが、最近まではレースを散々やって来られて次のヨットをどうするかという話になって、最後はレースでは無くクラシックデザインでゆっくり過ごせるのが良いとの事でした。まあ、一般的に最後にレーサーは無いだろうなとは思います。でも、逆にクルージングばかりしてきたオーナーは最後にスポーツ系で気軽にシングルで走らせる事ができるヨットというご希望もあります。

最後のヨットを中古艇から探して綺麗に整備する。或いは、1年ぐらい待てるなら新艇から選ぶ。新艇なら世界の多くのヨット群の中から選択できますが、中古艇なら限られてきます。その中で気に入ったコンセプト/デザインのヨットを選んで整備/レストアして自分の好きな様に造っていく。レストアすると時間はかかりますが、これも楽しみな時間として捉える事もできます。

多くの場合、最後の艇としてはクラシック系のデザインを好まれる。こういうデザインには木材が多く使われていますが木材はこれが綺麗なら船齢を思わせない魅力を感じさせてくれますが、逆に木材が汚いと船齢が若くてもみっともなさを感じます。という事は木材、とくに外装に使われる木材を磨いてニスなんかを施してやると見違えるようになります。

最後のヨットになりますと、だいたいですが、クルー無しで自分一人でも自由自在に操船できるヨットとしてサイズダウンを考える方は多い。最後のヨット、これまでの経験から考えて常識に囚われる事無く自由に好きなヨットを選んで行けるのはワクワクします。新艇でも中古艇でも良いんだろうと思います。

そう言えばアレリオン28というヨットはレース三昧だったオーナーが最後にたどり着いたヨット、それがたまたまデイセーラーと言う事になりましたが、当時はそんなヨットは無かったのでデザイナーに頼んで新規に建造したヨットでした。もう30数年前の事です。それが彼の最後のヨットだった。当時はまだバリエーションが少なかったからですが、今は多くのバリエーションが存在します。外洋艇、沿岸艇、レーサー、レーサークルーザー、スポーツ系、デイセーラー等々小型から大型までクラシックもモダンも世界中から気に入る新艇を探しても良いし、中古艇なら整備さえすれば何とでもなる。上の写真は1994年進水の30年もの。
アレリオン28です。今でもピカピカ、それにデザインも古さを感じさせないですね。


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