第二十三話 プロペラ
| これまでの長い、長〜い話は、全てクルージング派の人達もセーリングを楽しもうという事に集約 されます。クルージング派の方々はセーリングに無頓着である方が多いので、一方、レースする 人達はかなりセーリングには神経を使っています。そこで、クルージング派の方々には、レース の戦術では無く、セーリング技術という面で、もっと参考にした方が良いのではと思います。 今回はプロペラの話。クルージング派の多くの方々は固定の２枚か３枚のプロペラを設置されて います。クルージングだからと口癖のように言われますが、密度の話でも書きましたが、空気中 にある抵抗物と水中にある抵抗物とでは、大きく異なります。誰が考えても想像つきますよね。 プールの中を歩いてみると、かなりの抵抗があり、走る事さえ困難です。この水中の中にプロペラ があります。当然ながらセーリング中はプロペラは停止、これがものすごい抵抗になるのです。多 分、皆さんの想像以上です。 レーサーはフォールディングプロペラを使って、抵抗を軽減しようとしますが、クルージング艇におい ても、セーリングを楽しもうという主旨から言ってお奨めです。或いは、フェザリングプロペラも良い ですね。これらは、帆走中にできるだけ抵抗を無くそうという物で、プロペラが小さい物だし、抵抗 が目に見えて解らないので無視しがちですが、セーリングのかなり抵抗になっている事は事実です プロペラより小さい手で水をかいて見れば、どれだけの抵抗があるかすぐに解ります。同じ事を空中 でして見てください。その違いは歴然でしょう。ちなみに、空気と水の密度の違いは８００倍もあるんです よ、数値で見ると良く解ります。 セーリングにはできるだけ抵抗を無くす。これが大切な事です。速く走らせる努力はプラスに働きます が、抵抗はマイナスです。ならば、マイナスを無くすだけでも速くなる。今まで通りの乗り方でも、マイナ スを減らすだけで速くなる。その上、速く走る工夫をすれば、もっと速くなる。当たり前の事です。 抵抗をできるだけ減らす事と速く走らせる工夫をする。抵抗が減る事は速いだけでは無く、ヨットにかか る負担を軽減します。そういう事はクルージング艇であっても良い事なのです。 造船所から付いてくる標準の固定プロペラの場合、だいたい小さ目というのが多いようです。それは大 きなプロペラを設置すると、抵抗が大きくなり、セーリングに影響するからです。エンジンを回して、規定 の最大回転数まで軽く回るようなら、プロペラは小さいと見た方が良いでしょう。最大回転数付近で負荷 が大きくなって、若干の黒煙を吐く程度がもっとも良いと言われます。そして通常は巡航速度で少し回転 を落として走る。これがひとつの目安です。エンジンを載せかえるという方もたまにおられますが、案外 プロペラをマッチさせて充分という事も多い。ただ、目一杯のサイズですと、抵抗が大きくなりますので、 フォールディングやフェザリングプロペラにすると良いと思います。 ついでながら、エンジン回転の最大まで回らない、その前から黒煙を吐き出すなんていう場合、船底が 汚れていて抵抗が大きいか、プロペラがでか過ぎです。 |