第三十八話 ヨットは女性

外国語ではヨットは女性名詞で表現される。何故かは知らないが、だからヨットに乗る連中は
男が大半なのだろうか。優雅なセーリング風景を見ていると確かに女性的かもしれないが、
場合によってはスリリングな場面も出てくる。さしずめ、じゃじゃ馬女か。

ヨットが女性ならば、男は乗りこなす事はなかなか難しい。極められない。だから、男は夢中
になってしまう。場合によっては、ヨットに夢中になっているのは、男の浮気と同じかもしれない。
スリルを味わっているのかもしれない。

ヨットが女性ならば、男は美しいのが好きである。人間ならば相手の意思もあるが、ヨットならば
こちら次第。ただ人間の美意識は一様では無いので、いろんな部分に美意識を感じる。しかしな
がら、美しさから入っても、そこにとどまるならば、やがては飽きてくる。飽きて、浮気がしたくなる
そして買い換えるのだ。ひょっとすると、あまり乗らない人の方が買い換えの頻度は多いかもし
れない。本当の所はわからないけれど。その先に進んで、緊張と緩和を楽しむなら、これは飽きる
事が無い。

ヨットが女性ならば、安定がある。女性は男より安定を好むのではないかと思う。だから、キャビン
は安定の印でもあるだろう。セーリングで緊張して帰ってきた時、キャビンは緩和をもたらす。でも、
キャビンは奥さん同じで、安定はあるが、緊張は無い。たまに、緊張感が伴う事もあるが。外が時
化るとキャビンでも安定はしていられないから。

結局、何が言いたいかというと、男は緊張感を求める動物であるので、その男がキャビンやピクニ
ックセーリングばかりしていると飽きてしまうという事である。それで一歩進んで、セーリングをしよう
という話です。セーリングして、緊張と緩和を味わったら、次のステップへ、そしてまた次のステップ
へと上っていこう。それが永遠に続くのがセーリングの奥深さであると思う。その時、前のレベルで
味わった緊張感は、余裕でこなせる。

余裕は安定でもあるが、その幅が広いことは、本物の女性を招いた時、もちろん奥さんも含めて、
実にかっこいいのです。誰でもカッコ良くなりたいと思う。緊張と緩和は自分の為、余裕は彼女や
ゲストの為に。余裕があれば、ゲストに緊張感を垣間見せる事ができる。ゲストは優雅さだけでは無く
少し緊張感を見せてあげましょう。ほんの少しだけ。オーナーに余裕があるなら、ゲストは何の心配も
無く、緊張感を楽しめるでしょう。

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