第四十七話 微風

今回のレースは全体を通して超微風でした。微風というのは非常に難しいですね。つくづくそう
感じた次第です。風がそこそこあれば走りやすいのですが、風が無いので、ちょっとした事に
失速してしまいます。クルージングならとっくにエンジンを駆けて走るところです。でも、クルー
ジングでも本当の外洋なら燃料がもったいないですから、風を探してセーリングしなければなり
ません。わずかばかりの風で、艇速をつける為に落とし、少しでると上らせて稼ぐ。そんな繰り
返しでした。

ジェネカーを2,3時間ばかり使ったでしょうか。これも微風でなかなか難しい。シートが重い太め
のシートにシャックル付きですから、尚重い。その重さにセールがだれてしまう。それで、急遽、
船内にあった細めのロープに交換して、何とかしのいだ次第です。ジェネカーはシートをできるだけ
出す。出して、セールの肩がピラピラしたら引く。その繰り返し、これだけでも結構きついもんです。

ヨット自体が外洋艇で、セールも強風用のセッティングでしたので、微風には弱かった。でも、外洋
艇ですから、レーサーのように何枚もセールを持つというものでもないので、これはこれで良い。
ただ、今回のレースではちょっと不利だったかと言い訳などしながら、それでもおおいに楽しみまし
た。

レースは走りを楽しみますが、結果も楽しみです。クルージングではエンジンが多く使われますが
そうなると帆走はあまり楽しむ事にはならない。それで目的地で楽しむと言う事になります。この
違いは、しょっちゅう行ってるような場所なら、楽しみも減少してくると思います。でも、帆走が楽しみ
なら、目的地は二番目です。クルージングで帆走を楽しむというには、しっかりした動機がなければ、
ちょっと風向きが悪いとか吹かないとかでエンジンをかけてしまいます。でも、ここに、より良いセーリ
ングをしようという動機が必要のようです。それさえ持てれば、クルージングであっても帆走を楽しむ
という事ができそうです。

でも、なかなかクルージングの場合はそうはいきません。どこに明るいうちに着きたいという事になる
からですが、それもわかる。それで、目的地を持つ時はエンジンを使ってでも、目的地を目指す。
そして、日常のデイセーリングではいかに速く走るかという帆走を目指す。こう割りきって、トータルに
ヨットを楽しむのが良かろうと思う次第です。そしてたまにレースに出たら良い。勉強になります。

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