第八十話 これからのヨット運営

ヨットは気軽に乗れるようにする事が大切だと思いますが、毎年年齢を重ね、体力的な事
も考えますと、ヨットに対して相応の変化を施す事になるでしょう。最近の新艇を見ますと、
多くの艇にメインファーラーが備えてあります。好むと好まざるに拘わらず、流れは楽にセー
リングができる方向に向かっている。新艇ならば、最初にセッティングしておけば良いが、
既に持っているヨットに対して、これからメインファーラーに変更するには小さなヨットでも
ざっと100万はかかる。それでも、流れはイージーハンドリングです。

かつて車はマニュアル車が殆どだったが、今ではオートマチックが主流、パワーボートには
でかいエンジンと発電機、エアコンが当たり前になってきた。誰でも、快適に過ごしたいと
思うはずです。

それで、殆どのヨットにはジブファーラーが付き、それからGPSが搭載されて簡単ナビゲー
ションが当たり前になってきた。次に来るのはメインファーラーと電動ウィンチでしょう。
40フィートぐらいのヨットになるとメインセールを上げるのも楽じゃない。そのうえ、自分の体力
も年齢とともに落ちてくる。この先を考えるなら、メインファーラーに魅力を感じるのもうなずける。

電動ウィンチは非常に高い。でも、これもやがては当たり前の時代になるかもしれません。いや
きっとそうなるでしょう。大きなヨットには当たり前の時代になるでしょう。でも、電動ウィンチを
1個つけるだけで軽自動車1台分ぐらいの費用がかかる。メインハリヤードウィンチを電動にした
ら、これは楽にメインを上げる事ができる。さて、セーリングに入ると、ジブシートウィンチが2個
これも電動にするとなると、これはもうすごい出費となる。そこで、こういう電動ウィンチが主流と
なる前に、もっと費用を抑えられる方法として、電動ウィンチハンドルがある。これ1台で、全て
のウィンチを電動として使える。

それにエアコン、これも増えてくる。ヨットにエアコンなど邪道であると、誰かが言っていましたが
人間は快適さにはかなわない。ある程度大きなヨットにはエアコン搭載が増えています。全ての
係留場所に陸電が取れるようになると、エアコンはもっともっと増えるでしょう。

メインファーラー、電動ウィンチ、電動ウィンチハンドル、こういう物が増えてくるのは間違い無いと
思います。これで、気楽にセーリングができるようになれば、それはそれで良い。ただ、楽だけ
を追求せずに、いや、体力的には楽だけども、精神的には、感性の面においては、集中と緊張と
を織り交ぜながら、セーリングの醍醐味を忘れないようにして頂きたいものです。

一方、小型ヨットの場合、メインファーラーにするまでも無く、メインセールを上げるにはそれ程難し
くは無い。メインセールのスライダーをスムースに上下するように、ベアリング付きのスライダーに
したりすればかなり楽になる。ウィンチを回すににも何とかなる。つまり、セーリングを自分の手で
より味わうには、小型艇の方が良いと思う方々も居る。ウィンチを回す力、それを感じながら、自分
の手で回し、舵にかかる水圧を手に感じ取る。そういうセーリングの感覚を大事にしたいなら、小型
艇の方が面白い。

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