第十二話 月夜へ

デイセーラーだからと言って、日帰り限定というわけでは無いです。確かにキャビンは
狭いので、長期間キャビン内で過ごすには窮屈でしょう。でも、ウィークエンド程度な
らキャンプ気分で寝泊りも不自由しないし、それにどこかに寄りながらなら、結構ロング
だって問題無い。行った先々で食料も水も調達できるし、時々ホテルに泊まるなら、
かえってさっぱりする。1日に短い距離を設定しながら、二人ぐらいでならゆったりも行
ける。

ロングを推奨するわけではありませんが、年に1回ぐらいちょっとだけ遠出とも考えるな
ら、デイセーラーだって全く問題は無い。ただ、大人数でのロングなら無理かもしれませ
んが、2,3人程度なら、それも毎日どこかの港に入るなら、デイセーリングの単なる積み
重ねでもある。小回りは効くし、これで数週間というときついですが、数日間程度なら、
全く問題は無い。実際、あるオーナーは25フィートで、年に2,3回1〜2週間程度の旅
に出られます。彼は純粋なシングルハンド。場合によっては1ヶ月くらい帰って来ない。

普段は、デイセーリングに徹し、乗らない時はメインテナンスか、昼寝か、お茶か。そして
いろんな工夫を自分でされる。実に、ヨットをおおいに楽しんでおられます。デイセーリング
は帆走に徹し、ちょっとロングならエンジンを使う。割りきっています。行った先で、しばらく
気に入れば滞在する。そんな時は、その地でデイセーリングを楽しむ。何も、どこかを一周
しなければならない事は無い。場所によっては、島々が点々とし、美しい海域があるもの
です。

たいした料理を作るわけでもないので、オーブンなんか要らないし、それより行った先で、
一杯飲みながら地元の料理を頂いた方が良い。銭湯に行った方が疲れは取れるし、たまに
なら民宿などに泊まると、それこそ疲れも癒される。実際、でかいヨットでもホテルに宿泊す
る方もすくなく無い。

ただ、小さいだけなら頼り無いと思う事もあるだろうが、しっかりした造りと重心の低さは実に
安心感を与えてくれます。自由自在に乗りこなし、デイセーリングからウィークエンドセーリング
を面白くしたいなら、是非、シングルハンド/デイセーラーになって頂きたい。慣れてくれば、
夜間だって走れます。夏の、丁度今の時期、昼間は暑くて乗れません。それなら、夕方から
涼しくなって、月夜の晩に、ちょっと2,3時間走ってくるのもおつなもの。月夜は意外と明るく
良く見えます。こんな気軽さをもてるなんて、なんて素晴らしいんでしょう。

ヨットは気軽に乗れてこそ、楽しさは何倍にもなります。ヨットの世界はぐんと広がりますよ。

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