第十五話 今日のセーリング
出航して最初の2時間程度は風が無く、とにかく暑い。涼しい秋なら、微風でも何とか しようという気にもなるが、こう暑くてはそういう気にもならない。どうりで日曜日という のにあまり出ていなかった。ところが後半は風が出てきて、まあまあ良い感じとなりま した。 ティラーを片手に、もう片手はジブシート。こういう時はセルフテーリングウィンチであって もウィンチ上部のセルフテーリングにシートを巻かないで、片手で持って、出したり、引い たりした方が良さそうだ。セルフテーリングに巻くと、引く抵抗にもなるし、出す時に少し 手間がかかる。ウィンチの後ろにジャムクリートを付けて、引っ掛ける方が良い。ウィンチ ハンドルで巻く必要がある時はセルフテーリングに巻く。メインシートはもちろん、コクピット にあるトラベラーで、これも舵を握ったままシートに楽に届く。 強風になればウィンチハンドルでまわす事になるが、できるだけハンドルを使わないでも 引けるようであれば、その方が対処がしやすい。メインシートはテークルを組んであるので 片手で引けるが、ジブシートはそうも行かない。でも、できるだけウィンチハンドルを使わない で済む範囲を広げる。という事はジブが小さくて、メインが大きいフラクショナルリグという事 になる。つまり、片手が舵でふさがっているので、もう一方の片手でジブもメインも引ければ その方が良い。リリースも同様。あくまでセーリングを楽しむのであるから、できるだけ細か にトリミングして楽しむのが良い。風の強さ、ティラーに当たる感じで、シートをちょっと出した り引いたり、そういう感触を楽しむ。できれば、ジブシートのリードブロックもテークルを組んで 前後位置の移動を操作できると、ストレスが無くなる。帆走中に、もう少しリードブロックを 動かしたいと思う時、舵にオートパイロットかけて、前に行って、移動させるという事もできる が、できればその場ですぐにやれた方が良い。もし、やっぱりもう少し前とか後ろとか、思い なおした時に、またオーパイかけて、前に行きでは、ちょっと面倒にも思える。 とにかく、いろんな考え方があって、自分で乗って、こういう風にできないかと考えながら、艤装 に工夫を凝らす。そうやって、どんどん自分のスタイルができてきて、そのスタイルで自分なりの 遊び方を創造していくのは面白い。 こうやって帆走していく面白さは、いかにも自分で走らせているという実感がある。ヨットがヒール したり、起き上がったり、セールのリボンが垂れ下がったり、きれいに流れたり、セールにきれい なカーブを造って、よりスムースに帆走させる事ができて、舵を持って、その反応を全部自分で 感じ取れる。これがセーリングの目的であって、その為にマリーナに来る。クルージングだから と言って、ある程度セットしたらずっとそのままというより、そういういろんな操作を楽しんだ方が 何倍も面白いと思います。こうなるとスポーツセーリングです。 シングルハンドではスポーツセーリングを織り込みながら、強弱をつけながら帆走する事をお奨め します。だんだん理屈がわかってくると、こうしたらもっと良いのにと思うようになる。それを実行 して、つまり、この実行をし易くするにはどうしたら良いか、そして実行して、その変化を感じます。 こうやっていくと、本当に自分が走らせているという実感が沸きます。それで良い走りをしたら、 これ程面白いものはありません。1日のセーリングのうち、短時間でも、そうやってメリハリつけて 走ると、実に変化に富んだ面白いセーリングができますので、是非、試して頂きたい。 |