第二十九話 セールの形

セールの形、三角形の形を考えてみます。まず、ジェノアですが、ピークがハリヤードで
上げられ、タックは固定、そしてシートで後方に引かれた三角形です。ピークとタックは
固定されていますので、シートを操作する事によって三角形の形が変わる。

シートを引けばセールは内側に来ますが、シートのリードブロックをどこの位置にするか
が問題です。三角形のセールの一端に繋がれたシートがどういう方向に引っ張られる
かによって、形がねじれたりします。頭の中で想像して下さい。

リードブロックが前側にいくと、三角形の底辺であるフットのテンションは緩んでくる。当然
ですね。シートの引く角度が下側から引く事になりますから、タック方面へのテンションは
緩み、その代わりリーチのテンションが上がる。つまり、三角形はカーブが大きくなり、
リーチは閉じて、風を一杯はらむ。

今度はブロックを後部にずらして、フット、リーチに同等にテンションがかかるようにする。
この場合は均等にテンションがかかっていますから、まあ、通常はここを基点に考える。
この基点から風の強弱によって、前後へ移動させます。

ブロックを後部へ移動させると、シートのリード角度はフット側にテンションをかけるように
なり、その反面リーチ側のテンションが緩んでくる。緩むと三角形はねじれ、上側のリーチ
は開きますので、そこから風が逃げていく。

強風で風を逃がしたいが、上り角度はかせぎたい。そういう時にただシートを出すだけでは
角度は稼げない。でもシートを目一杯は引けない。こういう場合は、ブロックを後部にづらして
セール上部で風を逃がし、下部で角度を稼ぐ。

メインセールの場合も同様で、シートとトラベラー、バングで三角形をねじったりして、形を考え
ます。ブーム中央で下側にシートで引きますと、カーブは別にして三角形は真っ直ぐな三角形
になります。そこからシートを出すと、ブームは外側に行き、同時に上側、つまり斜め上の外側
に移動しますので、リーチが開いていきます。ここから風が逃げていく。そして、トラベラーに
設置してあるブロックを風上側に移動させるとすると、セールのリーチは開いて、でもブームは
再び中央側に寄る。これと同じ事を、トラベラーが及ばない外側ではブームバングで行う事が
できます。

つまり、三角形の形をどういう形にするか、ジブもメインもリーチを緩めると風を逃がす事ができる
でも、同時に内側に引き込む事もできる。この三角形の形をいろいろな操作で、ねじったり、リーチ
を閉じたり、開いたり、そういう作業をしているわけです。操作と三角形の形を考えてみてください。

ジブとメインの大きな違いはブームです。メインセールはブームがあるおかげで、フットはいつもテン
ションがかかった状態にできます。もちろん、緩める事もできる。このブームのおかげで、あらゆる角度
にでもセールが展開できます。でも、ジブは上りからせいぜいアビームぐらいまででしょうか、それ以上
はブームが無いので、シートを引く角度から考えても、クリューを後方には引けなくなります。
それで、スピンの登場となります。でも、あまり使われていませんが、ジブブームというのもあります。

とにかく、三角形の形をしたセールを、どこをどう扱うとセールがどんな形になっていくか、それによって
どんな影響がでるかを考えてみて下さい。メインセールなら、三角形の一辺はマスト、もう一辺はブーム
この二つの棒を開いたり、上に上げたりしてみると想像できます。セールを大きく外に出していても
バングを引けば、ブームは下におりてくる。そうすると、セールはパンとはってきます。また、ブームが
中央近くでも、ブームを上に上げれば、リーチは大きくカーブしてくる。つまり開く。そういう事をジブに
ついても考えてみます。そうすると、だいたいどんな操作をしたら、どんな形状になるかが解ります。

次へ      目次へ