第三話 エンジン

遠くに行くときはエンジンが物を言う。だいたい、航程の70〜80%はエンジンを使っています。
それならエンジンのパワーは重要となりますが、近場の、それもセーリングを主体と考えるとき、
エンジンはあくまで補機です。遠くへ行くときは、エンジンは主機と言える。でも、セーリング主体
ではエンジンは補機です。ですからエンジンはそれ程重要ではありません。マリーナの出入港
以外はセーリングするという気持ちを持って頂きたい。目標はセールを自由自在に扱う事です。
ヨーロッパではエンジン無しというヨットで乗る連中も少なく無い。あるオランダ人はいつも、セール
だけで出入りしている。みんなにそうしろとは言いませんが、マリーナを出たら、セーリング、そう
いう事ですから、あまりエンジンにこだわらなくても良いのではと思うのですが。

一般的に言って、シングルで乗るなら30フィート以下でしょう。デザインによっては30フィートでも
でか過ぎる。最近のヨットは特にそうです。キャビンはでかいし、バラストは小さい。例え、舵もって
他の操作に手が届いたとしても、シングルハンドで乗るにはしんどいと思います。しんどくなると、
人はエンジンを使う。その方が楽ですから。でも、ヨットらしさを楽しむ事とは別です。

サイズがそこそこなら、取りまわしも楽です。ちょっとぶつかりそうなら、手で止める事も、他のヨット
を蹴飛ばしても、衝突は避けられる。慣れてくれば、簡単に出せる。簡単に出せなければ、出るのが
億劫になる。

ヨットですからいつも風を感じなければなりません。どっちの方向から吹いてくるか、どの程度の風の
強さか、初心者の方には是非、風向風速計を付けて頂きたい。これによって、風を数値で見る事が
できる。この風速の時、こっちからの風の時、どうやってマリーナを出航するか。数値で見た記憶は
次の出航時に役立ちます。どの程度なら、どうなるかが経験でわかるようになる。その目安をつけや
すくする為にも、風向風速計はあった方が良い。レースに使う為だけの計器ではありません。

風が強いとエンジン回転を上げても、風上に切り上げるのは難しくなる。何故なら、一旦バックして
停止してからか風上に切りあがる時、ヨットは停止、その時に流されてしまう。これをどうやって、
出航するか。後ろに、広い海面があるなら、簡単です。充分下がって、多少風で流されても、エンジン
回転を上げて、大きく回る事ができますが、狭い海面しかないなら、大きく回れない。

風が出航したい方向から吹いてくる時、それが強い風の時、ならば後進で、ある程度広い場所まで
でる。その場所、でそれなりの出方を考えなければなりません。そのコツさえ掴めば、気楽に出れる。
入港する時も同じです。風を考えて、出入りをします。ヨットは頭が先に風下に流される。そのことを
頭にいれて練習です。これは是非、慣れていただく必要があります。全てはここから先にあるのです
ら、これが楽にできると、いつでも気が向いた時に気楽に出せるようになる。と言う事はより気楽にセー
リングが楽しめるという事です。これに慣れていない為に、どれだけ多くのヨットが動かないか。

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