第三十四話 ヨット日和

波の無い、適度な風、そんなヨットには最高な日は、年間一体何日あるだろうか。おまけに
そんな日が週末と重なるなんて日が何日あるだろう。実際にはそんなには無いのではない
でしょうか。波も風も良いが暑いとか寒いとか、或いは風がちょっと強すぎるとか、そういう日
の方が多いのでは無いでしょうか。でも、ちょっと考えてみる必要があります。

前にニュージーランドから来た人の話を紹介しましたが、彼らの目には、我々のヨットの使い
方が違うと映っている。風の無い日に出て、風のある面白い日に出ない。つまり、我々は快適
依存症に極度にかかり、快適に過ごせるを思う日にしかセーリングしていないのかもしれませ
ん。そうすると、年間に出す日はそうは多くは無い。

もう少し枠を広げて、腕も磨いて、もうちょっと吹いた時にセーリングしてみると、どんなに重い
ヨットでも良く走ってくれます。セーリングが恐怖と思えた事も徐々になれてくると、こんなに面
白いものだったのかとも感じる事ができるかもしれません。用心深い事は良い事ですが、もう
少し枠を広げてみても良いような気もします。

これまでの乗り方なら、ヨットはどんなヨットでも構いません。でも、少し枠を広げていくと、その
差が出てくる。重心が低いか高いか、それがどんな違いをもたらすか、風圧面積の大小、船体
剛性の高さ、そんな事で違いが出てくる。結局、あまり乗らずにキャビンで過ごすヨットなら、
何でも良いが、セーリングをもっと楽しもうと思うと、それなりの性能差が出てきます。そうする
とどんなヨットが良いのかが解ってくる。

本日は約10mぐらい吹いて、2,3時間のセーリングをしましたが、良く走ってくれました。フリー
ボードの低い、重心の低い、腰の強いヨットでしたので、まだまだ余裕で走ってくれました。
もちろん、快適でした。つまり、良いヨットは余裕がある。見た目には解らないかもしれませんが、
キャパシティーが大きいと言えます。それで、乗り手にとっても恐怖感無く、よりセーリングの快走
が楽しめる。こんな日にどんどん乗ると面白い日が多くなります。乗れる機会が多くなる。いつも
穏やかな時だけ乗るのとはセーリングが全く違ってくる。こういう事はその気になれば、誰でも
できる事です。そう難しい事でもありません。ただ、ヨットの性能が発揮されてくる場面でしょうから
重心の高いヨットとか、そういう艇ではよりしんどい思いをしなければならないかもしれません。

是非、練習して、回数乗って、徐々に自分の枠を広げていく。近場ですから、何時間も耐えるという
セーリングではありません。短時間を快走する楽しみです。もちろん、穏やかな日より、少し多くの
エネルギーを使うでしょう。でも、スポーツしに行くのですから、それで良い。そうやって乗っていくと
自分の乗りたいヨットがどんなヨットなのかが解ってきます。セーリングを楽しめる日も多くなる。
そのしびれるような感覚を一旦味わうと、やめられません。そして、今度はこうしよう、ああしよう、
こんな取り回しの方が扱いやすい、そんな自分のセーリングスタイルが出てきます。これが面白い
のです。

ヨット日和、それはどんな日なのか、ちょっと考えて見る必要がありそうです。

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