第五十三話 ニュージーランドから

ヨットでやってきたニュージーランド人、彼曰く、日本のヨットは殆どメインテナンス
されていないので、驚いたそうだ。故障したら修理するという程度で、メインテナン
スは故障のいかんに拘わらず、普段からやるもんだ。そうする事によって、故障
を未然に防ぐ事ができるし、経費もかえって安くなる。そういう通り、彼のヨットは
非常にきれい、オイル一滴落ちてもすぐに解る。それに彼自身、非常に詳しい。
まあ、日本にまで来るぐらいですから、それだけ詳しくないといけないのでしょうが、
日本では業者であっても、知らないのが多い。批判するわけでは無いが、経験が
浅いせいでもあるだろう。

エンジン、電気、FRP、それぞれの専門家を呼んでくれば何とかなるが、トータルで
見る場合、やはり何でも設置されれば良いというものでは無い。ヨットは本体その
ものも重要だが、その後のメインテナンスも重要事項です。もっと、もっとヨットにつ
いては勉強しなければならないと思いました。メインテナンスによって寿命が決まる
と言っても良いかもしれません。そういう意味では10年も経てば、一度全体のオー
バーホール的な見直しをした方が良さそうです。ニュージーランドでは全てのオー
ナーが詳しいわけでは無いが、自分でしないなら、業者にやらせる。その業者も
一度でもいいかげんな仕事をすると、完全にほされる。逆に良い仕事をすると、ど
んどん仕事が入るそうです。我々ももっとレベルを上げていかなければなりません。

人生を楽しく、というのは、自分だけでは無く、オーナーもそうなのだから、オーナー
にも楽しいヨットライフをおくってもらうのが当然となる。その為に良い仕事をしなけれ
ばならないのは当然となる。つまり、人生を遊ぶのは、逆に仕事をする時はプロフェ
ッショナルに徹しなければならないという事になります。良い仕事して、遊ぶ時は楽し
く、これでみんながハッピーになる。オーナーも、そして我々業者もです。

但し、オーナー側も勉強して頂かなくてはなりません。それはセーリング技術だけで
は無く、トータルにヨットを知るという事です。何がどんな役目をしているか、そして、
できるだけトラブルが早期発見できるように、そうするのは人生をハッピーにする為
です。いざという時に大きなトラブルにならないように。人によっては、いつかトラブル
に見舞われるなと思う人が居ます。そういう方は、乗りっぱなし、大胆といえば大胆
かもしれませんが、用心もしない。そして、ある時大きなトラブルで大枚をはたく事に
なる。良く、知らないからとか言うオーナーがおられますが、知ろうとしていない。
知らないながら、あっちこっち見たり、エンジンルーム空けたり、掃除したり、そんな
事をしていますと少しづつ解ってきます。単純にそういう事の繰り返しで、何年も経つ
と雲泥の差が出てくる。有難い事にヨットは見れば解るという単純な部分が多いの
です。

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