第五十八話 横浜ボートショー

ボートショーを見てきました。こういうフローティングは良い、やはりヨットは浮かんだ状態
が最もさまになります。関東の業者さんを中心に、努力の結果、毎年のこのショーを開か
れています。こういうショーは一箇所でいろんなヨットを見る事ができますので、重宝しま
す。ただ、客は自分だけでは無いので、やたらあっちこっち引っ剥がして見るという事も
しずらい。見た目はどれでもきれいにしていますので、なかなか本質はわかりにくいと思い
ます。

解るのはフリーボードの高さ、データからはバラスト比(但し、最近のヨットはバラスト重量
の記載が無い)、エンジンとかのメインテナンスのし具合、できれば床のひとつもはずして
キールボルトの取り付けとか、ストリンガーの船底にどう設置されているか、バルクヘッド
が積層されているか、そういう所を見たいのですが、なかなかそうも行きません。
たくさんのお客さんが居る中で、床板をはずせない。ただ、外洋仕様かどうかを聞けば
想像できるかもしれませんね。例え外洋に行かなくても、そういうきちんとした建造をされ
ているヨットは乗り心地、安心感が違います。でも、それだけ金額も高くなりますね。これ
は仕方の無い事です。ロングと言っても、外洋を走り続けるのでなければ、全く問題は
無い。本当に時化た時、逃げ込める場所があるかどうかですから。

残念ながら、我がコメット33は今回出展できませんでしたが、来年は何とかと思っています。
自分で言うのも何ですが、造りは良いです。でも、最近のクルージング艇が殆どメインシート
トラベラーが入り口の向こう側にありますが、コメットはコクピットにあります。この方が良い
と思っています。ロング中心のヨットライフであれば、キャビンの向こうでも構わないでしょう。
エンジンが主役になる場合が多いですから。でも、近場はセーリングを楽しむという点におい
てコクピットにあった方が良いと思っています。コメットを選択した理由のひとつです。

さて、ボートショーむ無事終了しました。これでまた新艇が日本に増えてくる事を望みます。
ボートショーで見て決めるというのは難しいと思います。そのヨットが良く解らないし、雰囲気
に押されてしまう。それに試走しても解りません。それでどうして決めるかと言うと、業者に
質問する事でしょう。その為にも勉強しなければなりません。良いヨット、自分に合ったヨット
を見つけるには自分が勉強しなければなりません。しかし、その勉強も面白い勉強ではない
でしょうか。

ヨットの事を知らずに、ある程度見分ける方法は、いつも言ってます。価格です。価格と建造
艇数です。建造の手間を簡素化したり、職人さんの代わりに、ヨットの事を知らない人がやる
のとでは工賃が違う。それでできてくるレベルも決まる。こう思っています。価格と品質のバラ
ンス、これが取れていないヨットは生き残れない。残っているという事は市場が認めていると
言って良いと思います。最悪なのは品質は悪いが、価格が高い。こういうヨットは市場には
残れない。後は、そのヨットのコンセプト、見た目のデザイン(遊びですからこれも大切です)
ピンと来る物があるか、内装レイアウトとかは、まあ、どれも似たりよったり。そのヨットがど
んな風に使われるのが適しているのか、それを想像しましょう。

ちなみに、コメット33はクルージング艇です。デイセーリングや近場のセーリング、そして沿
岸のクルージングを想定しています。つまり、近場はセーリングを楽しむというコンセプトです
から、走りを楽しむという事を主眼にしています。ですから、重心は低く、キャビンもそう大きく
は造らない。でも、充分な広さがある。それ以上大きくして重心を高くするような事はしない。

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