第七十五話 その次
| 話は解った、シングルハンドにしようじゃないかと思ったとしても、価格が高いので 手が出ない。そういう話も聞こえそうです。まあ、サイズにもよりますが、それでも、 サイズにしては同サイズの他の廉価版に比べたら高い。どうも日本は世界で最も 安いのが基本になっていますので、その他はみんな高いのです。そんな事言って も仕方ありません。 それで一般的ヨットをいかに気楽にシングルで乗れるか、それを考えていった方が 良いという事になります。まずは、一人ですから、風圧面積のできるだけ少ない、 フリーボードが低いヨット、それでもキャビンは充分ありますからご心配無く。 それとメインシートトラベラーがコクピットにあって、舵を握ったままシート操作がで きる事、ジェノアも小さめで操作がし易く、或いはセルフタッキングジブを考えても 良い。ちょっと大き目のサイズでセールが重いなら、ベアリング付きのスライダー にするか、電動ウィンチを１個、オートパイロットも設置した方が楽ではありますが 基本的に楽する為では無く、セーリングを遊ぶ為なので、オーパイはあまりセール の上げ下げ時程度、これに計器としては風向風速計とスピード計を設置して乗れば 乗る度に、風を具体的に記憶できるので、その積み重ねが、先々役に立つ。それに どんな操作をしてスピードが何ノットでるかが一目瞭然なので、乗って面白い。 速いという事はその分抵抗が少ないわけで、それは良い事なのです。クルージング でもスムースの方が良いのです。ここで言う速いというのは、人より速いという意味 では無く、自分のヨットでスムースな走りをする速さです。そうやって乗ってますと、 ちょっとした違いがすぐにわかる。神経を研ぎ澄ませていなくても、ぼ〜っとしていても 感じられるんです。何か違うと。ですから、気楽に、楽しんで、そして自然に体が感覚的 に覚えてきます。 これで自由自在に一人でも出せて、楽しめるようになると、もうこっちのもの。いつでも ちょっとした時間でも、セーリングが楽しめる。ヨットが本当に自分のものになる。 そして、誰かを誘って、乗せてあげても、何の心配も無い。手を借りる必要も無い。 コクピットに座ってもらって、寛いでいただいている間に、スムースにマリーナから出して セールを上げて、セーリングを楽しんで頂ける。今日のゲストが女性で、初めてなら、 ちょっと穏やかに走る。１時間もしたら、爽やかさは退屈に切り替わってきますから、 ここらで舵を持たせる。女性も結構舵握ると楽しいもんです。それにあわせて、セール のトリミングをして、１日充分なエンターテインメントになります。こんな時、コクピットに メインシートがあったら邪魔と思うかもしれません。でも、これは間違い。ゲストはこん なところにロープがあって嫌だなと思うでしょうか？スペースは充分あります。これも ヨットなのです。勝手にそう思い込んでいるだけなのではないでしょうか？決して邪魔で はありません。ステアリングが邪魔だから、向こうへ追いやるなんてしませんよね。 メインシートだって、コクピットに合った方が使いやすいのですから、あるべき所にあって 良いのです。 あなたの軽妙なトークも良いですが、セーリング中はセーリングの魅力を楽しませてあ げた方が良い。その方が新鮮ですから。そうしたら、また来てくれます。もう来てほしく 無い人には、ちょっと大きくヒールさせて、少しハードににしても良いかもしれない。 それもこれも自由自在なのです。 |