第八十八話 計器

クルージング艇において計器というとGPSが真っ先に思い浮かびます。これについて
はもはや何も言う事は無い。この便利さは革命的です。次に来るのが、オートパイロ
ット、これは計器ではありませんが、とりあえずここに入れました。特にロングでのク
ルージングやシングルでの操船時には、飯を食わない、文句も言わない、腕の良い
クルーです。そして、デプス。最近はGPSに魚探がついているのが多いので、別個に
デプスサウンダーを設置しない場合もあります。ただ、デプスと魚探の電波が干渉
する場合がありますので、設置には要注意が必要です。

これらが一般的なクルージング艇での装備ですが、お奨めはこれらに加えて、風向
風速計とスピード計です。これまではこういう機器類はクルージング艇には不要と考
える人が多かったのですが、今でもそうかもしれませんが、この二つはできれば設置
される事をお奨めしています。どの方角から、どのぐらいの風が吹いているのか、きち
んと把握できる。感では無く、データとしてきちんとわかります。この事は、例えば、
いろんな経験をしていくと、それらが記憶データとして残り、今走っている状況が、過去
のデータと照らし合わせて、客観的に解るという事です。それらのデータは乗る度に、
計器を見て、数値で何ノットの風と出ますから、客観的であり、また、それに対して艇速
が何ノット出ているかが客観的にわかる。これによって操作の手助けになるし、リーフ
時期や、以前はもっと出ていたのに何故か?と考えるきっかけになり、それらがトラブル
を未然に防ぐ事もあるかもしれません。また、スピード計は対水速度、GPSは対地速度、
つまり、スピード計は海水の流れの速度であり、潮流に影響されますが、GPSは実際の
移動による計算で、実際にヨットが動いた速度になります。つまり、このふたつの数値の
差は潮の流れの影響を受けているので、潮流の方向によってはGPS速度より速かったり
遅かったりするわけです。差が無ければ潮流も無いという事になります。計器によって
客観的なデータの積み上げ、難しい事はありません。いつも計器を見ていると自然に記憶
に残ります。それが、助けになるし、また面白味にも繋がります。

GPSは自船の位置を知る事が容易にできますが、それだけではありません。GPSは進行
方向を示してくれます。進行方向を示す道具として、どの船にも設置してあるコンパスが
ありますが、コンパスは必ずしも正しい進行方向を示しているとは限りません。バウが向い
ている方向を指しているだけです。つまり、艇が真北を指していても、GPSが355度を示し
ているなら、バウは真北に向いてはいるが、実際の進行方向は355度で、つまり5度分
潮で流されているという事が解ります。わずか5度でも、長く走れば相当距離ずれる事に
なる。昔と違って、こういう事が簡単にわかるようになりました。

さて、最後にこれらの設置ですが、最近特に多いのが、全ての計器類をコクピットの、それ
もステアリングホィールの前に設置する事です。コンパスの上あたりに全ての計器を設置
する人が多い。でも、私からの提案はちょっと違います。GPSとオートパイロットはラット前
ですと非常に扱いやすいので便利でしょう。でも、後の計器はゲストやクルーが居る場合
みんなが見える所が良いと思います。クルーも風向風速とスピード計が見える。そうすると
トリミングの助けになる。また、ゲストでもスピードが上がったり、下がったり、そういうのが
見えて、風向、風速との関係が解っていいのではないかと思います。オートパイロットも最近
では無線のコントロールができるようになりましたので、どこでも良いといえばどこでも良くな
りました。それにシングルハンドでしたら、全てラット前でも良いとは思います。

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