第五十四話 知識

知識は本を読んだり、人に聞いたりして得る事ができます。ヨットがそれで終わらない
のは、その知識を得たからといって、実際にうまくセーリングが上手になるかというと
そうは行かない。

微風ではドラフトは深く、強風では浅くと言いますが、実際どの程度の事を言っている
のか、それが解らない。これは実際、その知識を元に浅くしたり、深くしたりして、ヨット
がどんな具合に変化するかを自分で体感するしかありません。つまり、最終的には、
実感して知識習得が完了します。それも一度試しただけでは駄目で、風速の変化、
波があるとか、そういう事によっても異なる。ですから、ひとつの事にしても、いろんな
場面がありますから、実に奥が深いですね。

それで、いろんな場面に遭遇しても、いろんな対応をするには、やはり知識が必要で
す。ある程度知識が溜まってきたら、いろんな知識から、自分で総合しながら、考える
事ができるようになる。これはこうで、あれはああだから、今度はこうすると良いんじゃ
ないか。そういう事を想像できるようになる。その為にも知識は必要で、是非、本など
も読んで下さい。きっと、目からうろこなんて事もあると思います。幸いな事は、複雑で
はあるんですが、ひとつひとつが目で見て、追っていけるものばかりです。常識的に
考えて理解できる事が多い。それが複雑にからんでいるだけなので、体感すると理解
が深まります。記憶力が乏しくなってきた我々でも、これからスタートする方々でも、
大丈夫、できます。この複雑なからみをひとつひとつ紐解いていく過程を遊べます。

若い人なら、体感して、体で覚えていくという事もできるかもしれませんが、我々はそう
はいきませんので、知識を是非増やして、それを体感していくという順序が良いと思い
ます。そしてうまく言った時、解った時、何とも言えない良い気分になる。だから、クルー
ジングでも速く走ろうとする行為は、必要なんだと思います。この良い気分はレースでも
味わえない。何故なら、そんな気分に浸っている暇は無いわけで、分担して仕事していま
すと余計そういう事はわからないのではと思います。

ですから、ヨットを遊ぶなら、速く走ろうと思った方が面白い。それには知識を蓄えて、
是非、実践で確認しながら、遊んでいただきたいと思います。

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